特集 こころの健康を育む—精神医学から伝えられること
【日々の暮らしとこころの健康】
—〈column〉—「動く」がこころにもたらす効果
大野 裕
1
1認知行動療法研修開発センター
キーワード:
身体活動
,
physical activity
,
運動
,
exercise
,
行動活性化
,
behavioral activation
Keyword:
身体活動
,
physical activity
,
運動
,
exercise
,
行動活性化
,
behavioral activation
pp.852-853
発行日 2026年6月15日
Published Date 2026/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810680060852
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動くこと,つまり身体活動が精神状態に与えるポジティブな影響は多くの研究で実証されている。Chekroudら1)は,米国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が実施した2011年・2013年・2015年の「行動リスク要因監視システム調査」(Behavioral Risk Factors Surveillance System survey)から,18歳以上の1,237,194人のデータを分析して,あらゆるタイプの運動が,精神的負荷を軽減することを明らかにした。なかでも,人気のあるチームスポーツ,サイクリング,有酸素運動やジムでの運動が効果的であった。ただ,運動量が多ければ多いほど効果があるわけではなく,週3〜5回,1回45分の運動が最も効果的であった。
また,Singhら2)が行ったランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスを含む系統的レビュー(研究協力者の総数128,119人)では,身体活動によって抑うつや不安,心理的ストレスなどの精神的不調が改善することが実証され,特にうつ病をもつ人,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症や腎疾患などの慢性疾患をもつ人,妊娠中および産後の女性,そして健康な人に中程度の効果が認められた。この研究でも,運動量が多ければ効果的だというわけではなく,その効果は運動の強度が高くなると上昇するが,介入時間が長くなると低下することが示された。身体活動の種類によっても効果に違いがあり,抑うつにはレジスタンス運動が,不安にはヨガなどのマインド-ボディ系の運動が効果的であることも明らかにされている。
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