増大号 超音波検査のパニック所見—いま知りたい、チェックポイントと緊急性
4章 心エコー領域:緊急所見
急性冠症候群—急性心筋梗塞に伴う機械的合併症 左室自由壁破裂,乳頭筋断裂に伴う急性重症僧帽弁逆流,心室中隔穿孔
古川 敦子
1
1細木病院循環器内科
キーワード:
急性冠症候群
,
ACS
,
急性心筋梗塞
,
左室自由壁破裂
,
乳頭筋断裂
,
心室中隔穿孔
Keyword:
急性冠症候群
,
ACS
,
急性心筋梗塞
,
左室自由壁破裂
,
乳頭筋断裂
,
心室中隔穿孔
pp.354-359
発行日 2026年4月15日
Published Date 2026/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200700040354
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急性冠症候群(ACS)の病態と心エコー図検査の役割
急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)は,冠動脈粥腫(プラーク)の破綻とそれに伴う血栓形成により冠動脈内腔が急速に狭窄・閉塞し,心筋が虚血・壊死に陥る病態を示す症候群で,不安定狭心症と急性心筋梗塞および虚血に基づく心臓突然死を含む概念である.心エコー図検査では,①責任冠動脈病変の推測,②心筋虚血の範囲と程度の同定,③左室機能の評価,④機械的合併症の確認が可能である.
まず大前提として,病歴と12誘導心電図からST上昇型急性心筋梗塞の診断が明らかな場合には再灌流療法までの時間が最も優先され,心エコー図検査が心カテーテル検査の施行を遅滞させてはならない.ST上昇型急性心筋梗塞は来院時もしくは救急車内心電図伝送などで来院前に診断が付いていることも多く,救急搬送時に初期診療医によるベッドサイド心エコー図のみで評価され,心エコー検査室に依頼されないケースが多いかもしれない.一方,比較的軽微な症状で一般外来を受診し,“胸痛精査”とシンプルな依頼コメントで検査室に急性心筋梗塞患者が紛れ込んでくることもまれにある.そのような事態を想定すると,そもそも心エコー図検査の基本ではあるが,少なくとも心エコー図検査開始時点で判明している他の検査結果(心電図,X線,CT,血液検査など)に目を通しておくことは非常に重要である.

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