増大号 超実践! 病理で迫るがんゲノム医療—検査から治療まで
2章 がんゲノム検査に関わるテクニックと工程
遺伝子関連検査領域の工程
—核酸(DNA,RNA)の取り扱い—核酸品質確認(ΔCT,DIN,A260/A280)
井上 博文
1
1岡山大学病院医療技術部検査部門遺伝子・ゲノム融合推進検査室
キーワード:
ΔCT値
,
DIN
,
A260/A280
Keyword:
ΔCT値
,
DIN
,
A260/A280
pp.1095-1097
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690101095
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ΔCT(リアルタイムPCRによる評価)
ΔCT測定は,リアルタイムPCRを用いて核酸の品質を評価する簡便な方法である.異なる長さのアンプリコン(短鎖:50〜100bp,長鎖:100〜300bp)をPCR増幅し,短鎖と長鎖の増幅サイクル数の差(ΔCT)を測定する(図1).核酸が高品質であれば,短鎖・長鎖ともに早い増幅が確認され,ΔCT値は小さくなる.一方,断片化が進んでいる場合は長鎖アンプリコンの増幅効率が低下し,ΔCT値が増大する.次世代シークエンサー(next-generation sequencer:NGS)解析の適用基準として,ΔCT値は2以下が推奨されている.また,過度なクロスリンクが生じた検体の評価にも有用である.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.