今月の!検査室への質問に答えます・21
血液培養でグラム陰性球菌が陽性になったと言われました.何を想定して,どのように検査を進めるのか教えてください
中山 麻美
1,2
1東北大学大学院医学系研究科総合感染症学分野
2東北大学病院診療技術部臨床検査部門
pp.106-109
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690010106
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はじめに
グラム陰性球菌が血液培養で陽性となる頻度は非常にまれです.施設の特性にもよりますが,筆者も遭遇するのは1年に1回あるかないか,という頻度です.
しかしながら,想定する菌種によっては,急激な経過をたどる場合や医療従事者側の感染対策上の対応も必要となることから,われわれ微生物検査を担当する検査技師には迅速かつ正確な菌種同定が求められます.また,近年では,質量分析装置の導入が進んでいますが,質量分析では誤同定することが知られている菌種もあり,検査のピットフォールも存在します.
一方で,グラム陰性桿菌のAcinetobacter sp.は,グラム陰性球菌様に観察されることがあります.また,Gram染色の過脱色や菌の性質により,グラム陽性球菌が陰性化して観察されることもあります.
いずれにしても,菌種の推定には,患者背景を把握することや菌の特性を知っておくことが非常に重要であり,臨床側と微生物検査室のコミュニケーションが必要不可欠です.
本稿では,血液培養から分離されるグラム陰性球菌のなかで,分離頻度の高い菌種を中心に臨床からの問い合わせを想定して概説します.
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