Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「非行少女」—体感,記憶,伝承されるべき「15歳・和泉雅子」
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.339
発行日 2026年3月10日
Published Date 2026/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220540030339
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1962年4月公開の日活作品「キューポラのある街」(本誌2024年4月号本欄参照)は,新人監督・浦山桐郎(1930〜1985)の第一作にしてブルーリボン賞作品賞,キネマ旬報日本映画ベストテン第2位,主演の吉永小百合もブルーリボン賞主演女優賞,浦山も同賞の新人賞を獲得し,興行的にも正月興行の石原裕次郎主演「アラブの嵐」をしのぐヒットとなった.
ここで,当時15歳の和泉雅子(1947〜2025)を吉永のごとくスターにしようとする日活は,浦山が監督する「非行少女」(1963年)の主人公・若枝役に和泉を起用することにした.スターの育成にも和泉にも関心のない浦山だが,原作の小説「三郎と若枝」の舞台が内灘(石川県河北郡)に近く,学生時代の内灘闘争の記憶も手伝い,彼なりに創作への意欲を膨らませていた.その証拠に,劇中,弾薬庫跡など闘争時の痕跡をこれ見よがしに取り込んでいる.和泉もまた「当初のキャスティングが会社命令で私に変更されたんですが,浦山監督はそれが気に入らなくて,厳しくやれば私が逃げ出すだろうとしごきにしごいた」1)と述懐しているのだから,本作は関係者それぞれの同床異夢の産物だったと言えよう.
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