巻頭言
やりたいこととやるべきこと
細田 里南
1
1高知大学医学部附属病院医療技術部リハビリテーション部門
pp.859
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530090859
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私は,中学生の頃にスポーツ障害を受傷し,その際に担当していただいた理学療法士への憧れから理学療法士をめざしました.手術を受け,復帰までの期間はチームメイトにおいていかれるような焦燥感に駆られていましたが,その方に復帰に向けて明確なプランの提示をしていただき,また,精神的なサポートをしていただいたことで,私自身がやるべきことに目を向けることができました.そして,「私もスポーツ障害をもつ患者さんに寄り添い,他人の役に立てる仕事がしたい」と思ったのでした.このように,自らが患者側になった,あるいはその家族の立場になったことがきっかけで,リハビリテーション専門職をめざし,従事されている方は多いのではないかと推察します.
では,実際にそのめざしていた職業に就き,当初思い描いていたような仕事ができているのでしょうか.私自身は学生時代の臨床実習を通じて急性期医療に興味をもち,結果的にはスポーツとはかけ離れた職場を選択しましたが,そこでは縁があって小児理学療法を経験することになりました.その経験は今でも私の財産となっています.このように,私たちは当初思い描いていた未来を人との出会いや環境の変化で,新たな道へと次々と塗り替えていくことができます.
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