増刊号 眼科診療のピットフォールあるある—対応スキル爆上げのヒント
4.白内障・屈折
白内障①—術後不満を生みださないために
太田 友香
1
1東京歯科大学水道橋病院眼科
キーワード:
白内障術後不満
,
視力不良の原因
,
屈折矯正術後
Keyword:
白内障術後不満
,
視力不良の原因
,
屈折矯正術後
pp.114-120
発行日 2025年10月30日
Published Date 2025/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037055790790110114
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はじめに
白内障手術は,手術機器や眼内レンズの発展が目覚ましく,その多くで低侵襲・短時間の手術が可能となっている。術中合併症も少なくなり,若手医師にとっても取り組みやすい手術の1つである。しかし,この潮流は同時に患者の期待度を過度に高めている印象がある。当院の外来でも,「白内障の手術は簡単なんですよね」「術後はすぐよく見えるようになるんでしょ」といった言葉をよく耳にする。このような患者の高い期待は若手医師にとっては脅威である。術前に明らかな白内障以外の異常所見が見つかれば,あらかじめ術後視力不良となることを提示できるが,視力不良になりうる原因をうっかり見落としてしまうと,術後の患者不満につながってしまう。
また,かつてlaser in situ keratomileusis(LASIK)などの屈折矯正手術を受けた患者が高齢化し,白内障手術を必要とする症例が増えている。これらの患者はもともと見え方へのこだわりや期待が高いことが多く,より注意が必要である。そこで,本稿ではこういった症例に対してどういう点に着目して手術に臨めばよいか,当院での症例を用いて紹介する。

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