臨床検査のピットフォール
寄生虫検査のピットフォール
見手倉 久治
1
1川崎医科大学附属病院中央検査部
pp.520-522
発行日 2026年5月1日
Published Date 2026/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.030126110540050520
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はじめに
寄生虫は,体内あるいは体表に寄生する微生物である.寄生虫症を診断するための寄生虫検査には,寄生部位や検出対象(虫卵,幼虫など)の違いなどにより,種々の検査がある.しかし,現在では,国内における寄生虫罹患率の低下により,寄生虫症患者に遭遇することはまれである.そのため,寄生虫検査の重要性は低下し,各施設における実績も少なくなっている.このような状況でも,直接塗抹法と集卵法であるホルマリンエーテル法〔medical general laboratory(MGL)法〕は,多くの施設で実施されている.主な検査材料は糞便であり,原虫シスト(囊子),虫卵および幼虫の検出を目的として実施されているが,虫卵などが検出される頻度は極めて低い.したがって,寄生虫検査を実施する検査技師の経験値も低下しているのが現状である.
検査における技術面だけでなく,寄生虫症に関する知識面に関しても,経験値の不足による知識不足が懸念される.現在の多くの寄生虫検査の主目的は,寄生虫症をR/O(ルールアウト)するための検査である.この場合の陰性結果を確実に陰性と報告できるように,検査を行わなければならない.もちろん,件数としては少ないが,寄生虫症の確実な同定のために適切な検査を選択して,臨床への報告をすることは重要なことである.
本稿では,主に実施されている集卵法と直接塗抹法について,いくつかのピットフォールとなる要因やポイントを解説する.

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