書評
—上原 拓樹 著 佐藤 宏行 監修—うし先生と学ぶ「循環器×臨床推論」が身につくケースカンファ
齋藤 秀輝
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1聖隷浜松病院循環器科
pp.1401
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620091401
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心不全なのか,不整脈なのか,虚血なのか,循環器内科医はついつい“疾患”と向き合ってしまう.それぞれの疾患には疾患ごとのガイドラインが日本循環器学会などから発表されており,勉強することで理解が深まる.だが,現実の患者さんはそんなに単純ではない.患者さんの社会的背景,経済的背景,多併存疾患(マルチモビディティ),リアルな現場では考慮すべき問題が山積みであり,臨床医としてそのような問題を1症例ごとに向き合うことで,机上の空論で学ぶだけでは得られない経験を得ることができる.
本書は“目の前の患者さんと真摯に向き合う”という,うし先生の姿勢が溢れるほど詰まった一冊である.全部で24症例,リアルな現場で経験する流れをそのままに,うし先生と後輩のぺん先生・いぬ先生による臨床推論カンファレンスがリズミカルに繰り広げられ,読み始めるとすぐにうし先生ワールドへの仲間入りだ.

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