書評
—上原 拓樹 著—循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。
深谷 英平
1
1北里大学・循環器内科学
pp.91
発行日 2025年1月10日
Published Date 2025/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620010091
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書を手に取り,初めに感じたことは,「自分の研修医開始時点に読みたかった……」の一言に尽きる.なんなら,専攻医や看護師にもとても役に立つ内容ですよ,これは.
第1章は,医学部の座学では全く教わることのない,現場の話から始まる.それぞれの病院・病棟には仕事をする上でのルール〔一部はローカルルール(汗)〕があるが,そのお作法は,都度現場の先輩方に口頭で教わってきた.時に別のローテーション先の先輩医師だったり,先輩看護師だったり,同僚だったりとコミュニケーションを取りながら,その不文律をなんとなく自分の中で習得していった.昔はそのような“俺流かもしれない不文律”が通用したが,昨今は医療安全の観点からも,ある程度型にはまったものが必要になってきている.本書はまさにその点を,具体例と共に記載されている.とりあえずこれを読んでおけば大きく外れることはなさそうである.さらには,プレゼンテーション,コンサルテーション,学会発表,論文,SNSの使い方と続く.まさに痒いところに手が届いている感じ.世の中には医学書といえば専門書が多く,より細分化された,マニアックな教科書が増えつつある中,本書のような,いわば“医業の入口部分”にこれだけ手厚く解説を加えている著書を私は見たことがない.
Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.