私たちの本棚
—江川 晴 著—捜し求める医療—看護婦物語
小野寺 令造
1
1仙台鉄道病院検査科
pp.772
発行日 1983年8月1日
Published Date 1983/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202841
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この作者の前作は「小児病棟」で第一回読売「女性ヒューマン・ドキュメンタリー」大賞優秀賞を受賞している.その内容にたいへん感銘を受けていたので,次の作品を待ち望んでいたところ「看護婦物語」が発表され,さっそく読んでみた.まず最初に"看護婦とは何か"というこの本の最大のテーマが問題提起され,看護婦 舞川苑子の目を通し,心を通して物語は展開していく.
その内容はまず,患者とのトラブルから始まる.今の看護婦のやり方は,検温機運搬人兼医療機器操作人で,ただの白い服を着た人形にすぎない.患者に対して何の説明もしないで,ただ自分たちの意志を押しつける.というこの場面が,今の看護業務,ひいては現在医療の直面している現状ではないかとも思えてくる.
日本ME学会では,12年前から医療従事者やメーカー側の人たちのME教育をいかにすべきかということを検討し,実行するためのME教育委員会を発足させている.その一つとして,医療従事者ならばこれだけは知っておいてほしいMEの知識と機器使用に伴う安全確保の対処法についての講習会を昭和54年から毎年行ってきた,さらにこれらの常識を身につけたかどうかを自己認識し,また職場でも明らかにし得るために「第2種ME技術実力検定試験」を行ってきた.全国にわたって既に数千人が講習を受け,また試験に合格しているが,ME機器の普及に比べてその輪はまだまだ小さい.
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