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はじめに
近年,看護学教育を取り巻く環境は大きく変化している。看護学新モデル・コア・カリキュラム(文部科学省,2025)では,学修成果基盤型教育への転換が示され,学生がどのような経験を通して,何を学び,どのような能力を身につけているのかを,教育課程全体として捉えることの重要性が示されている。とりわけ臨地実習は,看護学生が知識・技術・態度を統合しながら学ぶ中核的な学習機会であり,その学修過程をどのように把握し,教育改善につなげていくかは,看護学教育における重要な課題の1つである。
臨地実習において学生が記述する実習記録には,患者との関わりや看護実践の体験,実習指導者や看護師との関係性の中で生じた気づきや学びが,文章で表現されている。実習記録は,従来,学生自身の振り返りを促す教材として,また教員が個々の学生の学習状況を把握し評価する目的として活用されてきた(谷口,柴田,1999)。
一方で,実習記録は記述量が多く,内容も多様であるため,教員が多数の記録を通読し,実習全体における学修の特徴や変化を把握することには時間と労力を要する。個々の記録を丁寧に読み取ることは可能であっても,その作業は個人単位の理解にとどまりやすく,実習期間を通した学生集団としての学修傾向を俯瞰的に捉えることは容易ではなかった。
このように,実習記録は教育的に重要な情報を多く含みながらも,その活用は主として個々の学生の振り返りや評価であり,学修過程を示す教育データとして体系的に整理・活用することには一定の制約があったといえる。そこで,実習記録を「個人の振り返りのための文章」としてのみ扱うのではなく,学生の学修過程を示す教育データとして整理し,実習全体の特徴や傾向を可視化する視点が求められている。
実習記録に含まれる言葉の使われ方や,実習の進行に伴う記述内容の変化を把握することは,学生の学びの特徴を捉え,実習指導や教育内容を振り返るための手がかりとなり得る。その1つの方法として,本稿では,実習記録の文章を対象に,テキストマイニングを用いた可視化の方法に着目する。

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