特集 DNP(Doctor of Nursing Practice)が未来を切り拓く—「研究」と「実践」をつなぐ高度実践看護師の新たなチャレンジ
Column
DNPプロジェクトが地域の住民やスタッフに与えたもの
持田 恵理
1
1大分県立看護科学大学看護学部社会看護学研究室
pp.288-289
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002283700580030288
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プロジェクトの背景と概要
筆者が以前所属していた自治体では,高齢者の自殺死亡率が高いという課題があった。それまで,自殺対策については経年的にゲートキーパー養成講座を実施していたものの,どれだけ自殺予防の効果があるのか成果がみえず,また当自治体の保健師等においては,うつ病が疑われる住民に対する相談支援の技術として,単にうつ症状のみに着目して自殺のリスク評価が徹底できていない,といった支援者としての課題があった。
このことから,筆者はDNPプロジェクトとして,住民がつとめる介護予防サポーター(以下,サポーター)や保健師等に対するゲートキーパー教育,ならびに保健師等の自殺予防にかかる相談支援に関する教育を行い,サポーターがリスクのある高齢者を発見した場合には確実に保健師等に紹介し,保健師等は適切にうつや自殺のリスク評価ができるようにするという,うつ症状を有する高齢者の紹介システムを構築し,検証することとした。プロジェクトの結果,うつ症状を有する高齢者の相談者数がそれ以前の相談者数よりも増加した。
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