書籍・雑誌概要

栄養と活動の理解に基づく理学療法実践 理学療法士はさまざまな対象者に対して、運動機能改善、活動量増加に向けた取り組みを行っており、とくにスポーツ領域ではアスリートのための食事管理が学問として体系化され、専門家の介入のもと理学療法士との協働がなされています。

　本特集で用いる「活動」とは、理学療法を実施している時間以外の病棟や生活の場面での活動全体を指します。その全体的な活動性を把握して、理学療法の場面以外の活動場面でどのような指導を行えばよいか、理学療法士にはマネジメント能力が求められます。

　病院の管理から離れると栄養や活動は自己管理になるため、より安全で効果的な理学療法を実践するには、どのような患者教育を実践すべきか総合的に考えていく必要があり、栄養状態の把握と変化する血液検査データの把握が必要となります。

　「栄養」（食べる）と「活動」（身体を動かす）はQOLを左右する要素であり、誰もが楽しみとするものです。理学療法士には、栄養と活動の関連性を理解して安全で効果的な理学療法を実践することが求められています。

目次

栄養と活動の理解に基づく理学療法実践のポイント
　【若林秀隆】
・栄養面の問題
・活動面の問題
・栄養面の問題と活動面の問題を踏まえた理学療法

嚥下障害を有する患者の栄養と活動の理解に基づく理学療法実践　
　【森下元賀，井上達朗】
・サルコペニア
・嚥下障害患者の栄養面の問題
・嚥下障害患者の活動面の問題
・嚥下障害患者の栄養面と活動面へのアプローチ

脳卒中急性期・回復期患者の栄養と活動の理解に基づく理学療法実践
　【今村　創】
・脳卒中急性期・回復期患者の栄養面の問題点
・脳卒中急性期・回復期患者の活動面の問題点
・脳卒中患者における栄養面と活動面の関連性および理学療法の展開

地域在住高齢者の栄養と活動の理解に基づく理学療法実践
　【永井宏達】
・地域在住高齢者の栄養面の問題
・地域在住高齢者の活動面の問題
・栄養面の問題と活動面の問題との関連性ー安全で効果的な理学療法をどのように展開するべきか

糖尿病患者の栄養と活動の理解に基づく理学療法実践
　【石黒幸治，篠島佑子】
・糖尿病とは
・糖尿病の診断と治療の概略
・糖尿病患者の栄養面の特徴
・糖尿病患者の活動面の特徴
・安全で効率的な理学療法の実践
・症例供覧

小児の栄養と活動の理解に基づく理学療法実践
　【黒川洋明】
・小児における栄養の重要性と評価方法
・小児における活動の重要性と実例紹介
・「栄養」と「活動」の視点を踏まえた理学療法の展開について

アスリートの栄養と活動の理解に基づく理学療法実践
　【小山貴之】
・アスリートの栄養面の問題
・アスリートの活動面の問題
・栄養面と活動面からみた理学療法の展開

● 講　座
知覚・認知と運動制御13―運動の変動性から関節間協調性を読み解く
　【冨田洋介，須田祐貴，樋口貴広】
・UCM解析を用いたシナジーの解析
・UCM解析を用いた研究
・上肢リーチ動作および歩行における「協調性」とは
・関節間協調性から読み解く理学療法介入の可能性

臨床評価における定量的データの収集と解釈の進め方5―脳画像のデータ収集と解釈の進め方
　【板東杏太】
・脳画像の種類について
・皮質脊髄路について
・CSTの三次元的走行の理解
・MRI画像における中心前回の同定方法
・脳の解剖学的標準化について
・標準化の実際について
・局所機能の理解におけるメタアナリシスの活用
・胸画像データの解析手法の概要
・脳画像をアウトカムとして利用する際の限界

● 報　告
人工膝関節全置換術術後の全荷重開始時期が早い場合と遅い場合の理学療法の効果の比較
　【林達也，室地敏雄，益田真吾，鈴木雅貴，本山満】