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根拠がわかる注射のための解剖学
筆頭著者 佐藤 達夫 (著者)
東京医科歯科大学 名誉教授
東京有明医療大学 名誉学長・名誉教授
インターメディカ
電子版ISBN 978-4-89996-446-9
電子版発売日 2021年8月16日
ページ数 116
判型 A4
印刷版ISBN 978-4-89996-444-5
印刷版発行年月 2021年7月
書籍・雑誌概要
医療技術行為の大半は被験者にとって侵襲的であるため、十分な局所解剖学的背景を理解したうえで行うことが大切です。
本書は、解剖学のオーソリティーである佐藤達夫先生が、医療現場で実施される頻度の高い注射・採血の解剖学的背景を、実際の剖出写真や明解なイラストを用いて解説しています。日常的に注射を実施する医師・看護師の方々にぜひ手にとっていただきたい、画期的な、今までにない一冊です。
目次
Lecture 1 静脈注射・採血
どの静脈に注射すれば安全か?
穿刺部位としてよく用いられる肘窩の皮静脈
皮静脈の走行──手背側の静脈網がよく発達
皮静脈の走行には、豊富なバリエーションがある
皮下の静脈と神経は近接して走っている
皮神経の枝の数が多いのは、肘窩の内側
EVIDENCE 尺側皮静脈の周辺・前面(浅層)には、多数の皮神経の枝が走行
逆三角形をイメージし、その奥を走る動脈・神経に注意
深く刺すと上腕動脈や正中神経を傷害する
肘窩の断面からもわかる、推奨される注射部位
皮下の “細い動脈” に刺入してしまう危険性
皮下の “深い動脈” に刺入してしまう危険性
Advanced Lecture 肘窩の解剖
EVIDENCE まれにみられる、“浅い” 前腕の動脈変異にも注意!
Column “血管” といえば、静脈のこと?
Column 橈側皮静脈と尺側皮静脈、その名の由来は?
手クビ近くの静脈穿刺は安全?
穿刺する候補は橈側皮静脈
タバチエールと周囲の解剖
STUDY 橈骨動脈が手掌に戻る際に通る隙間
タバチエールに穿刺する際は十分に注意!
STUDY 背側ではよくみえる、手クビの腱
Advanced Lecture 手クビまわりの橈骨動脈の走行
Column 上腕伸側への静脈注射
Check! 足クビへの静脈注射──穿刺に適しているのは内側? 外側?
STUDY 伏在神経は、大腿前面から足クビまで達する唯一の神経
Lecture 2 皮下注射
皮下注射の際は、橈骨神経の走行に注意!
橈骨神経は腕神経叢の最も大きな枝
橈骨神経は腋窩後壁の三角隙を通る
“回旋” する腋窩神経に対して橈骨神経は“らせん”状
橈骨神経は筋間中隔を貫いて後ろから前へ下行する
筋間中隔の貫通部が注射時の“ウィークポイント”
上腕伸側への安全な注射部位とは?
Check! 外側上顆より4横指上方に注意!
POINT 肘頭が術者に向くと橈骨神経を損なわない
EVIDENCE 皮下脂肪は、男性より女性の方が厚い
Advanced Lecture 橈骨神経のらせん状の走行
皮下注射で影響を受ける橈骨神経の支配枝
三角筋の表面部への皮下注射
NOTE 上腕の皮神経は大きく分けて2パターン
STUDY インスリン注射の適切な部位
Lecture 3 筋肉注射:殿筋
殿部への安全な注射部位は?
主な神経の通り道となる、2つのあな(孔)
殿筋は、大・中・小の三層構造
中殿筋への注射で保護したい上殿神経
人体で最も長く太い、坐骨神経の走行
Column ヒトの殿筋が発達しているのはなぜか?
神経を損傷しない、安全な刺入位置はどこ?
Column “クラークの点”のクラークとは?
Column 現在は注射禁忌! グロスの三角
Advanced Lecture 殿筋の三層構造と神経の走行
Check! 神経を損傷してしまったら、どのような影響があるのか?
2本の神経から構成される坐骨神経
脛骨神経、総腓骨神経の特徴
梨状筋との交差形態は3パターン
脛骨神経と総腓骨神経の重なり方
上殿神経損傷の影響
Column 注意したい、注射針の“刺入深度”1
Column 注射針が腸骨を貫通すると危険!
Check! 小児への筋肉注射で適切な部位は?
殿部・三角筋は適さない
適しているのは大腿前側
EVIDENCE 大腿筋群の重さの比較
EVIDENCE 大腿四頭筋で “いちばん重い”のは、外側広筋
大腿四頭筋の構造
大腿四頭筋を支配する大腿神経
大腿への適切な注射部位は?
外側広筋への注射部位
NOTE 大腿四頭筋硬縮症に注意
Lecture 4 筋肉注射:三角筋
肩峰から3横指下に注射すると “危険”?
頸から起こり、“後ろから前へ”回る腋窩神経
腋窩神経は1つの隙間から4つの枝へ分かれる
肩峰から “3横指下” は本当に安全か?
腋窩神経の主枝は、肩峰から“ほぼ3横指下を通る”
推奨される注射部位は“正三角形”の内部
Advanced Lecture その他に推奨される注射部位
Column 三角筋の上方へ注射すると…
Check! 刺入時の注意点1──三角筋前方への刺入
Check! 刺入時の注意点2──後上腕回旋動脈
三角筋はでこぼこした大きな筋肉
上部、中間部、下部で厚さと固さが異なる三角筋
Column 注意したい、注射針の“刺入深度”2
EVIDENCE 三角筋は、上肢においては上腕三頭筋に次ぐ大きな筋である