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研修医・医学生・看護師のための臨床力がアップする病理解剖活用術

研修医・医学生・看護師のための臨床力がアップする病理解剖活用術
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筆頭著者 田村 浩一 (著)

三輪書店

電子版ISBN

電子版発売日 2024年5月13日

ページ数 270

判型 B5

印刷版ISBN 978-4-89590-800-9

印刷版発行年月 2024年4月

DOI https://doi.org/10.18937/9784895908009

書籍・雑誌概要

現実の患者の経過は決して教科書通りにはいかない。快方に向かうのは一本道ではなく、入り込むと死に至るような枝道もある。治療経過は順調だったのに、思わぬ事で足を掬われたりもするのは多くの臨床医が経験している。
病理解剖の目的は単純な死因解明だけではなく、症例が経過中の何時、なぜ死に至る枝道に入り込んだのか、それを防ぐ手立てはなかったのかを探る「謎解き」でもある。
本書は臨床病理カンファレンス(CPC)の流れを踏まえながら、厳選した17例の剖検症例について、臨床経過と剖検所見が提示されている。これは病理による「診断当てクイズ」ではなく、病理解剖で何がわかるのか、その範囲と限界を知り、剖検例からいかに学び臨床力を高めることができるかを知るための書である。
病理医が様々な臓器の所見を基にどのように臨床上の謎に迫るかの解説があり、17症例だけで、病態について多くの知識を得ることができるだろう。
各症例で、臨床経過から考えられた病態のフローチャートと、剖検結果を元にしたフローチャートが対比できるように示されており、実例にそった病態関連図の組立て方を学ぶこともできる。
さらに、知っておくと役に立つ病理解剖に関する知識について第Ⅰ章でまとめるとともに、遺族のための病理解剖という視点を第Ⅲ章で提示してある。
今まで医療の発展のためとばかり言われてきた病理解剖の新たな視点を提示した、いままでにない病理本である。

目次

第Ⅰ章 いざという時に役に立つ、病理解剖についての知識
知っておきたい12のポイント
 1.臨床研修の中での病理解剖との関わりは?
 2.病理解剖の目的は、と聞かれたら?
 3.病理解剖を行うための条件は?
 4.条件を全て満たしているのに、病理解剖できないのは?
 5.病理解剖の遺族への依頼のしかたは?
 6.病理解剖承諾書とは?
 7.承諾を得る相手の「遺族」とは?
 8.日本病理剖検輯報って国が出版している刊行物なの?
 9.病理解剖診断書の書き方に決まりがあるの?
 10.取り出した臓器は誰のもの?
 11.病理解剖を行った時の死亡診断書の書き方は変わるの?
 12.遺体相手だから感染対策は不要か?

第Ⅱ章 剖検症例
A 入院中の突然死 ― 入院中の予期せぬ突然死:病理解剖でどこまで死因を明らかにできるか?
 症例A-1 食道穿孔の手術後4日目に突然死した80代男性
 症例A-2 発熱の精査で入院、甲状腺炎クリーゼの加療中に突然死した70代男性
 症例A-3 ネフローゼ症候群の精査中に突然心肺停止に陥った40代男性
B 希少疾患 ― 病理解剖で初めて明らかとなった疾患とは?
 症例B-1 前立腺生検ではわからなかった希少疾患
 症例B-2 謎の感染症で腸管が次々壊死
 症例B-3 剖検で見つかった新たな疾患
C 剖検で解けた謎 ― 臨床的に謎が残った症例を剖検する意味は?
 症例C-1 多発性骨髄腫の経過観察中、急性心不全を発症した原因は?
 症例C-2 肺癌術後の経過中に急性心不全を発症した原因は?
 症例C-3 進行胃癌で突然の大出血にて死亡した原因は?
D 予想外の剖検結果 ― 病理解剖で明らかになった、予想もしなかった病態とは?
 症例D-1 肺癌術後の多発脳梗塞
 症例D-2 認知症患者の下痢と発熱
 症例D-3 白血病を背景とした肺炎、縦隔炎?
E 剖検で新たな謎が ― 剖検の結果から生まれた新たな謎とは?
 症例E-1 膵頭部癌術後、肺動脈血栓塞栓症で死亡した症例
 症例E-2 膵癌浸潤に対する十二指腸ステント挿入後の突然死
 症例E-3 大腸癌の多発転移で死亡した症例
F CPCの討議で病理診断を変更 ― CPUでの討議が、正しい病理診断の役にも立つ
 症例F-1 早期胃癌術後の多発転移性腫瘍
 症例F-2 膵癌、肝膿瘍→肝転移巣壊死

第Ⅲ章 遺族にとっての病理解剖の意義
 ①遺族の思い
 ②剖検結果の説明の現状
 ③病理医による剖検結果の説明の経験
 ④心に残った遺族のことば
 ⑤剖検結果の説明を希望された理由
 ⑥遺族のグリーフケアに通じる剖検結果
 ⑦おわりに

コラム
 臨床研修制度によって変わったCPCの対象例
 病理解剖にかかる時間
 学生CPC指導の想い出
 病理解剖の術式
 おかあさん、ぼうけんに行ってくる
 ホルマリンで臓器の色が変わる
 剖検例の切り出し
 制限解剖:検索臓器の制限と、切開制限
 ネクロプシーとは
 病理解剖所見の記載
 高齢者の剖検
 忘れられないCPC
 この状態になるまで生きていた!
 痰詰まりは医療過誤か?
 肉眼診断の不確かさ
 死因とは
 真夜中の解剖
 標本作成の順番
 遺跡の発掘と病理解剖
 顔を元通りに~遺族の願い
 叶えられぬ夢
 緩和医療と病理解剖

おわりに
付表
 ・臓器の正常重量の目安
 ・検査の基準値
索引

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