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日めくり麻酔科エビデンス アップデート3
~1日1つ,3カ月で100の知見を得る~
筆頭著者 新山 幸俊 (編)
克誠堂出版
電子版ISBN 978-4-7719-6071-8
電子版発売日 2020年12月14日
ページ数 239
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-7719-0534-4
印刷版発行年月 2020年5月
書籍・雑誌概要
好評書の第3弾。前作と同様,麻酔関連領域の新知見を楽しくアップデートできるようにした。“レミマゾラム”“手術室の運用”などの近年のトピックスも新たに追加した。
目次
◆1◆ 麻酔の作用機序 廣田 弘毅
1)光で全身麻酔をコントロールする
2)プロポフォールによる意識消失には,神経ネットワークの断片化が生じている
3)海馬における全身麻酔薬作用は,扁桃体の活動によって修飾される
4)グリア細胞のミトコンドリアが麻酔の覚醒に影響する
5)新生児期の全身麻酔薬曝露は神経発達障害を生じるか:国際的多施設無作為化前向き試験における5 年後の結果
◆2◆ レミマゾラム 桂川 孝行/土井 松幸
1)ミダゾラムと比較したレミマゾラムの安全性と薬物動態および薬力学:第Ⅰ相試験
2)ヒツジにおけるレミマゾラム,ミダゾラム,プロポフォールの鎮静効果の比較
3)ヒト肝細胞を用いたin vitro におけるレミマゾラム長期持続投与による代謝への影響
4)気管支鏡検査の鎮静において,レミマゾラムは有用で安全性が高い
5)新しい静脈麻酔薬レミマゾラムは,既存薬の問題点を克服する
◆3◆ モニタリング 高木 俊一
1)オピオイド誘発性呼吸抑制(OIRD)による分時換気量(MV)低下の原因は,呼吸数(RR)より1 回換気量(TV)低下による影響が大きい
2)気管内心拍出量モニター(ECOM)は,肺動脈カテーテル(PAC)の代用にはならないが,1 回拍出量変動(SVV)を測定できるため,輸液反応性を予測するのに有用である
3)近赤外線分光法(NIRS)が,全身麻酔中の鎮静モニターとなる
4)nociception level(NOL)指数によって,侵害受容体への刺激の程度が客観的にリアルタイムモニタリングできる
5)TOFscanR はキャリブレーションしなくても,キャリブレーションしたTOF ウォッチRSX と同等に使用できる
◆4◆ 気道確保 鈴木 昭広
1)乗り遅れるな! 気道をエコー評価する時代は,すでに到来している!
2)術場挿管は自動車教習所内の,術場外は悪路の山道の運転のようなもの……麻酔科医には術場外挿管を意識した教育指導が必要である
3)「あのね,CPA 患者はBMV でいいの.挿管なんかする必要ないんだってば!」ついに院外CPA のRCT 結果出る.前向きでも挿管の優位性は示されず
4)心停止患者への挿管は,いいエビデンスがない……なら,声門上器具は?
5)THRIVE の謎~無呼吸なのに酸素を取り込み,二酸化炭素が放出? その不可思議なからくりを探る~
◆5◆ 末梢神経ブロック 青山 由紀/佐倉 伸一
1)内転筋管ブロックで投与した薬液は,ターニケットの加圧によって頭・尾側のどちらにも広がるが,頭側への広がりは限定的である
2)膝窩部坐骨神経ブロックで神経内注入を行えば,きわめて少量の局所麻酔薬で完全な知覚神経・運動神経遮断が得られるが,神経活動電位の低下が6 カ月以上持続する
3)肋骨弓下斜角腹横筋膜面ブロックでは腹部正中付近の広範囲の知覚遮断を得られるが,0.375%ロピバカイン片側20 ml ずつ投与したさいの効果持続時間は約10 時間である
4)乳がん手術における“深”前鋸筋面ブロックの鎮痛効果は,“浅”前鋸筋面ブロックと同等である
5)腸骨筋膜下ブロックでは,鼠径靱帯より近位で穿刺するアプローチのほうが,遠位で穿刺するより広範囲の腰神経叢ブロックを得ることができる
◆6◆ 呼吸管理 柴﨑 雅志
1)ロボット補助下腹腔鏡手術時における呼吸メカニクスは,どのように変化しているか?
2)重症肺炎モデルにおいて,肺リクルートメントにより喀痰は末梢気道に押し込められる
3)それぞれの患者に適正なPEEP 付加は,術中の人工呼吸管理を最適化し,術後無気肺を減らす
4)適切なPEEP の付加により,分離肺換気中の換気血流不均衡を改善できる
5)ストレッチによりAxl 不活性化を抑制することで,肺損傷を減らせる可能性がある
◆7◆ 循環管理 前田 琢磨
1)なぜ麻酔科医は最適バイタルを目指すのですか? それは患者さんの予後に影響するからです
2)緊急で患者さんが運ばれてきましたが,まだろくにモニターもついてません! とりあえずend-tidal CO2 で心拍出量を推定しよう!
3)スワン・ガンツもLAP(左房圧)もありません! 大丈夫,エコーがあれば左房圧の上昇の予想が可能です
4)先生,めっちゃ出血してます! よし,先制的にFFP を入れよう!
5)解凍血漿って,どれくらいもつの? 5 日はもちます!
◆8◆ 新しい血管内手術 尾前 毅
1)非弁膜症性心房細動に対する経皮的左心耳閉鎖術は,ワルファリンと同等の塞栓症予防効果を持つ
2)腹部大動脈瘤に対するEVAR と開腹手術の長期生存率に有意差はない
3)複雑多枝病変を持つ冠動脈疾患症例には,PCI よりもCABG が有効である
4)低リスクの大動脈弁狭窄症症例において,TAVR は外科的大動脈弁置換術よりも術後成績は良好である
5)中等度─重度の二次性僧帽弁閉鎖不全症患者に経皮的僧帽弁形成術は有効である
◆9◆ ロボット支援下手術の麻酔 新山 幸俊
1)直腸がんに対するロボット支援下手術には,従来の腹腔鏡手術に勝る点がない
2)ロボット支援下手術では,極端な頭低位と気腹により呼吸機能が低下し,COPD を合併している患者におけるその変化は術後5 日以降も持続する
3)ロボット支援下手術における極端な頭低位と気腹により,循環動態はどのように変動するのか?
4)ロボット支援下手術における極端な頭低位と気腹という環境下では,脳灌流の自己調節機能は3 時間で破綻する
5)ロボット支援下手術において,PEEP は頭蓋内圧を上昇させない
◆10◆ 小児麻酔 釜田 峰都/蔵谷 紀文/櫻井 ともえ/西脇 智哉/小原 崇一郎/宮澤 典子
1)小児における絶飲時間短縮への取り組み~絶飲1 時間でも誤嚥リスクは増加しない~
2)小児の全身麻酔導入時,経鼻カニューレによる低流量100%酸素投与は,THRIVE による100%酸素投与と同等の無呼吸許容時間の延長効果がある
3)急性リンパ芽球性白血病の長期生存患者における麻酔曝露と神経認知機能および神経画像の関連性
4)小児麻酔の重大事象発生率(APRICOT 研究):欧州の261 病院における前向き多施設観察研究
5)開発途上国における小児手術室の整備は,費用対効果が高い可能性がある
◆11◆ 術後痛 田中 聡
1)高侵襲手術後の成人における非オピオイド鎮痛薬:無作為化試験のネットワークメタアナリシスによるシステマティックレビュー
2)高侵襲脊椎手術後の慢性的なオピオイド使用の頻度とリスクファクター:縦断的結果のある横断的研究
3)モルヒネの反復投与は,雄性ラットの術後痛を遷延させる
4)鼠径ヘルニア修復術,子宮全摘術,開胸術後の術後慢性痛に関連する遺伝的・臨床的要因
5)胸腔鏡手術後鎮痛に対する患者満足度の決定要因
◆12◆ 鎮静 古谷 健太
1)心臓手術後せん妄に対するアセトアミノフェンの効果
2)大腸内視鏡検査における鎮静:プロポフォールにデクスメデトミジンを加えると,退院までの時間は短縮する?
3)重症患者に対するデクスメデトミジンを用いた早期鎮静
4)小児MRI におけるプロポフォールを用いた鎮静に,ケタミンを加えると鎮静の質が高くなる
5)静脈麻酔薬を用いた全身麻酔の導入および覚醒には,青斑核が関与する
◆13◆ 麻酔合併症 藤村 直幸
1)腹部大手術に対する制限的輸液療法は,従来の輸液療法に比べて術後の急性腎障害が生じやすい
2)脳波ガイド下の麻酔薬投与は,高齢者の術後せん妄発生率を抑制しない
3)ガバペンチンを投薬されている患者では,術後の呼吸抑制に注意する必要がある
4)脊髄幹ブロック後の血腫と膿瘍は,硬膜外カテーテル抜去後に発症することが多い
5)股関節骨折手術において,脊髄くも膜下麻酔は全身麻酔と比べ入院期間が短く,90 日死亡率も低下した
◆14◆ 産科麻酔・無痛分娩 木西 悠紀/大瀧 千代/松田 千栄/播磨 恵/弓場 智雄
1)分娩中のマグネシウム投与と母体発熱との関連性:後ろ向き横断研究
2)帝王切開における不必要な全身麻酔が,有害事象を増加させる
3)硬膜外無痛分娩において子宮口全開大後,ただちにいきみ始めても,遅くにいきみ始めても自然分娩率に差はないが,遅くにいきみ始めたほうが合併症が増加する
4)硬膜穿刺法により無痛分娩の副作用は減り,質は上がる─硬膜外麻酔および脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔との比較検討:無作為化臨床試験
5)骨盤位の外回転術施行に最適なくも膜下ブピバカイン量の検討:二重盲検無作為化比較試験
◆15◆ 救急医療 谷口 巧
1)着用型自動除細動器は,心筋梗塞発症後早期の不整脈死を改善しない
2)心筋梗塞が疑われる患者の診断と転帰を推定できる高感度トロポニン検査におけるリスク評価ツール
3)院外心停止に対するアドレナリン投与は30 日生存率を向上させるが,神経学的予後は変化させない
4)重症成人患者における迅速導入中のバッグ─マスク換気は,誤嚥を増加させることなく,酸素飽和度を維持できる
5)脳梗塞発症後9 時間以内の灌流画像に基づく血栓溶解療法導入の意義
◆16◆ 集中治療 新山 修平
1)重症外傷性脳損傷患者における神経学的転帰に対する早期持続的低体温療法
2)敗血症性ショック成人患者に対するヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンの効果
3)敗血症の新しい臨床表現型の導出,検証,および潜在的な治療の意味
4)重症敗血症と敗血症性ショックに対するヒドロコルチゾン,ビタミンCおよびチアミン併用療法─後ろ向き前後臨床試験─
5)敗血症誘発性循環ヘパラン硫酸フラグメントが,敗血症性認知機能障害を媒介する
◆17◆ ペインクリニック 表 圭一
1)末梢作動性オピオイドは,神経障害性疼痛に対して,中枢性の副作用を呈することなく自発性・持続性疼痛を抑制する
2)骨折後の適切な運動やリハビリは,CRPS の発症や症状悪化を抑制する
3)脊髄刺激療法の内因性下行性抑制系の賦活により,慢性痛における自律神経系の乱れを回復させる
4)神経障害性疼痛患者に対して,その罹患期間にかかわらずプレガバリン治療は有効である
5)椎間板症性腰痛症は,椎間板症における炎症機序ではなく,神経障害性要因が大きく寄与している
◆18◆ 緩和医療とオピオイド 栗山 俊之/川股 知之
1)自宅で死を迎える患者の生存期間は,病院で死を迎える患者と比べて同等あるいは長い
2)デュロキセチンは,化学療法誘発性末梢神経障害による痛み,機能障害,QOL を改善させる
3)便秘,鎮痛効果,行動抑制,呼吸抑制を引き起こすための濃度反応関係の特性は,オキシコドン,モルヒネ,フェンタニルではそれぞれ異なる
4)慢性痛患者のオピオイド誘発性便秘症に対するナルメデジン長期投与は安全である:無作為化二重盲検第3 相試験
5)ノシセプチン受容体とμオピオイドペプチド受容体に対する2 機能性アゴニストが,霊長類においてオピオイドの副作用なく,鎮痛効果を発揮する
◆19◆ 手術室の運用 小坂 康晴
1)手術室で1 分間にかかるコストは,平均$36 ─ 37 である!!
2)手術中の麻酔科医の交代は,術後のアウトカムを悪化させる!!
3)大腿骨骨折の患者は,24 時間以内に手術をしないと死亡率が上昇する
4)女性外科医による治療のほうが,男性外科医による治療より術後のアウトカムがいい!
5)ロボット補助下腎臓摘出術は,手術時間が長くコストが高い!
◆20◆ 災害と麻酔 片山 勝之
1)「仙台防災枠組2015 ─ 2030」は,防災・減災の世界標準である
2)災害時の病院サージキャパシティは,どうあるべきか?
3)手術室からの避難にチェックリストは有用か?
4)大腿骨骨折に対する腸骨筋膜下コンパートメントブロックによる入院前鎮痛
5)地震に関連した外傷の系統的レビュー