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精神科薬物療法のプリンシプル
筆頭著者 仙波 純一 (編集)
さいたま市立病院
中山書店
電子版ISBN
電子版発売日 2021年9月21日
ページ数 320
判型 A5
印刷版ISBN 978-4-521-73489-7
印刷版発行年月 2012年6月
書籍・雑誌概要
本書は個々の薬物についての解説書ではなく,薬物療法の行動原則を確立させるための本です.
そのため,薬理作用や薬物動態と相互作用の基礎的な知識については全体を俯瞰するような記述とし,実際に処方に困るような場面(最初の薬物が無効な時,身体合併症患者や妊娠・授乳中の患者,高齢者の薬物投与など)については詳述しました.
プリンシプルのある薬物療法を行うための一冊.
目次
Ⅰ章 薬物療法を始める前に
精神科薬物療法の考え方
精神科医が薬物療法を開始するということ
薬物療法の開始と患者への説明
薬物療法でもたらされる利点
効果発現までの時間
継続する期間
作用機序の説明
副作用の説明
どこまで説明すべきか
ごくまれではあるが重大な結果を引き起こす可能性のある副作用
特定の患者に起こりやすい副作用
過量服用による危険性
患者の述べる「飲み心地」
診断のつかないときにどうするか
保険診療における薬物療法のルール
添付文書の見方
適応外使用の問題
自動車の運転と精神科治療薬の使用
Ⅱ章 薬理学からみた精神科薬物療法
1.精神薬理学とはなにか
精神薬理学の考え方
精神科臨床医のための神経科学の基礎
神経細胞とシナプスの構造
受容体
トランスポーター
臨床精神薬理学の研究法
遺伝薬理学(pharmacogenetics)
薬物代謝酵素の遺伝子多型
薬物の作用部位の遺伝子多型
脳画像研究
2.精神科治療薬の作用機序を理解する
抗うつ薬の作用機序
うつ病のモノアミン仮説
セロトニン・トランスポーター占拠率と臨床効果との関係
抗うつ薬の抗不安作用
気分安定薬の作用機序
抗精神病薬の作用機序
統合失調症のドーパミン仮説
ドーパミン受容体占拠率と臨床効果と錐体外路症状との関係
抗不安・睡眠薬の作用機序
3.薬物動態の考え方
薬力学
薬物動態への配慮
薬物動態学
吸収と分布
代謝
排泄
血中半減期と投与回数
シトクロムP450(CYP)
CYPを介した薬物の相互作用
Therapeutic Drug Monitoring(TDM)の意義
薬物相互作用による併用禁忌
抗精神病薬
抗うつ薬
気分安定薬
バルビツール酸系薬物
ベンゾジアゼピン系薬物
ラメルテオン
Ⅲ章 EBMと診療ガイドライン
1.EBM
EBMにおける医学的根拠の吟味
症例対照研究
ランダム化比較対照試験
ランダム化比較対照試験の問題点
メタアナリシス
メタアナリシスの原理
漏斗プロット(funnel-plot)
メタアナリシスの問題点
治療効果発現必要症例数(NNT)
2.診療ガイドライン
診療ガイドラインの作られ方・書かれ方・比較・限界
診療ガイドラインの作られ方
診療ガイドラインの書かれ方
診療ガイドラインの比較
診療ガイドラインの限界
Efficacy(有効性)研究とeffectiveness(有用性)研究
Efficacy研究
Effectiveness研究
エビデンスのないときの治療
Ⅳ章 精神科薬物療法の実際 治療法各論
1.抗うつ薬
抗うつ薬の適応
抗うつ薬の種類
三環系抗うつ薬
セロトニン2Aアンタゴニスト/再取り込み阻害薬
四環系抗うつ薬
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
ノルアドレナリン作動性および選択的セロトニン作動性抗うつ薬
選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
ノルアドレナリン・ドーパミン再取り込み阻害薬
抗うつ薬の使い方
dual actionはsingle actionよりも有効か
抗うつ薬をどう使い分ける?
不安障害に対する抗うつ薬と抗不安薬
パニック障害
強迫性障害
社交不安障害
全般性不安障害
外傷後ストレス障害
摂食障害
抗うつ薬の注目すべき副作用
SSRIによる中枢のactivationと自殺への作用
抗うつ薬による身体疾患発症のリスク上昇
抗うつ薬の中止後症状
抗うつ薬による躁転
2.気分安定薬
気分安定薬の定義
気分安定薬の適応
気分安定薬の選択
気分安定薬の種類
リチウム
バルプロ酸
カルバマゼピン
オランザピン
アリピプラゾール
ラモトリギン
新しい気分安定薬候補
気分安定薬の併用
気分安定薬の副作用
リチウム
バルプロ酸
カルバマゼピン
ラモトリギン
3.抗精神病薬
抗精神病薬の受容体特性
第2世代抗精神病薬にEPSの少ないことを説明する理論
抗精神病薬の陰性症状・認知障害への効果
抗精神病薬の使い方
抗精神病薬の種類
フェノチアジン系抗精神病薬
ブチロフェノン系抗精神病薬
ベンザミド系抗精神病薬
その他の第1世代抗精神病薬
クロザピンおよびクロザピン様の抗精神病薬
SDAとよばれる抗精神病薬
ドーパミンD2部分アゴニスト
抗精神病薬の剤形
抗精神病薬の副作用
錐体外路症状
急性の錐体外路症状
急性アカシジア
遅発性の錐体外路症状
抗精神病薬の代謝系への副作用
高プロラクチン血症
4.抗不安薬・睡眠薬
抗不安薬
抗不安薬の使い方
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の種類
例外的な抗不安薬:タンドスピロン
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の離脱症状
睡眠薬
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の使い方
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中止法
ベンゾジアゼピン系以外の催眠作用を持つ薬物
ラメルテオン
抗ヒスタミン薬
鎮静的な抗うつ薬を睡眠薬として使う場合
鎮静的な抗精神病薬を睡眠薬として使う場合
不眠に対する睡眠薬使用の問題点
精神疾患に伴う不眠をどう治療すべきか
睡眠薬を使用するときの患者や家族への説明の要点
ベンゾジアゼピン系薬物に共通する副作用と禁忌
ベンゾジアゼピン系薬物の問題点
わが国のベンゾジアゼピン処方の現状点
常用量依存の問題
漫然とした長期投与の予防と対処
同効薬を重ねて投与しない
頓用での使用は慎重にする
ベンゾジアゼピンをうつ病や統合失調症の併用薬として漫然と継続しない
どのようになれば終了するかをあらかじめ話し合っておく
Ⅴ章 第一選択の薬物が無効であったときの薬物の変更・併用
1.薬物の変更・併用の考え方
第一選択薬が無効なときにどうするか
薬剤の併用の考え方
わが国の多剤併用の問題
polypharmacy, augmentation, combination
薬物を併用する目的
多剤併用に伴う「神経伝達物質ものがたり」
polypharmacyの落とし穴
2.薬物の変更(置換)の実際
置換のタイミング−効果の早期予測は可能か?
抗うつ薬の場合
抗精神病薬の場合
どのように置換するか
どのような薬に置換するか
抗うつ薬の場合
抗精神病薬の場合
3.薬物の併用の実際
薬物併用療法
抗うつ薬
気分安定薬
抗精神病薬
多剤となった薬物をどう整理するか
抗精神病薬
抗うつ薬
抗不安薬・睡眠薬
Ⅵ章 さまざまな場面での精神科薬物療法と留意すべき副作用
1.妊娠・授乳中の患者
妊娠中の薬物投与
妊娠中の抗うつ薬
妊娠中のベンゾジアゼピン系薬物
妊娠中の抗精神病薬
妊娠中の気分安定薬
授乳中の薬物投与
授乳と抗うつ薬
授乳とベンゾジアゼピン系薬物
授乳と抗精神病薬
授乳と気分安定薬
妊娠時の薬物療法の説明の要点
2.身体合併症患者
身体疾患の患者に対する薬物投与の原則
腎疾患
肝疾患
心疾患
心筋梗塞や心不全のSSRI投与
神経疾患
脳卒中
パーキンソン病
てんかん
呼吸器疾患
糖尿病と脂質異常症
3.高齢者
加齢による薬物動態の変化
高齢者に対する薬物療法の留意点
高齢者の精神障害に応じた配慮
高齢者のうつ病
高齢者の双極性障害
高齢者の不眠
せん妄
認知症に伴ううつ病
認知症に伴う焦燥・興奮などの行動障害
4.精神科治療薬による留意すべき副作用
まれではあるが重大な副作用
悪性症候群
セロトニン症候群
重篤な薬疹
気づかれにくい精神面への副作用
アカシジア・jitteriness
SSRIによるアパシー症候群