連載 子どもの心と体をはぐくむ 住まい空間・あそび空間・第5回
子どもと歩き回れる空間
仙田 満
1
1環境建築家
pp.622-625
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.34433/ch.0000000959
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あそび回り,歩き回った子ども時代
私の子ども時代の思い出として,なんといっても楽しかったのはあそび回ることでした。私が生まれたのは保土ヶ谷という谷間の町でしたが,南北に丘があり,その丘と丘の距離は約1.5kmありました。そして,東西はほぼ1.5kmの範囲であそび回ることができました。そういう広い領域を連日歩き回りました。あそびの領域として谷間の町に育ったことはとてもよかったと思っています。私の町の谷戸には戦時中,数多くの防空壕が掘られていて,そこも私のあそび場でした。そして町のはずれ,2時間ほど歩いたところに英国人墓地がありました。第二次世界大戦で亡くなった英連邦の戦士の墓でしたが,そこはとても美しい場所でした。世界にはこんなに美しい場所があるのだという思い出が,後に建築家になることにつながりました。

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