Medical Technology 53巻5号 (2025年5月発行)

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特集　徹底解説！血栓止血検査のピットフォール

扉 53巻5号 , 2025年5月 , pp.421-421

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　読者の方から「凝固検査の際のピットフォールについて解説した記事が読みたいです．採血，提出，遠心，検査までの保存方法（特に冷蔵保存がよくない理由）を知りたいです」とのご要望が編集部に届きました．今月の特集はこちらのご要望にお応えし，血栓止血検査を検査前・中・後に分け，ピットフォールとその対策をご解説いただきます．

1．血栓止血検査これだけは座間　槙 53巻5号 , 2025年5月 , pp.422-427

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生体内では血液凝固と線溶のバランスが維持されている．凝固検査では可溶性の凝固因子から不溶性のフィブリンの生成（析出）までのプロセスを測定し，線溶検査では析出したフィブリンやフィブリノゲンの分解までのプロセスを測定している．本稿では，凝固・線溶検査を理解するうえで必要な知識を中心に解説する．

2．検査前のピットフォール阿部　まゆみ 53巻5号 , 2025年5月 , pp.428-434

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血栓止血検査は，検査前の段階からさまざまな要因が検査結果に影響を及ぼすことがわかっている．そのため，凝固採血管の保管状況をはじめ，採血，検体の保存，搬送，処理など，さまざまな過程のなかで注意すべき点が多くある．そのなかの何か一つでも適切に行われなければ，正しい検査結果は得られない．本稿では，日々の検査のなかで間違いやすい点や注意すべき点などについて解説する．

3．検査中のピットフォール　1）止血系検査その1 網野　育雄 53巻5号 , 2025年5月 , pp.435-440

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血栓止血検査はさまざまな要因によって検査値が変動する．採血の時点からすでに検査は始まっており，データを正しく評価できるかが問題になる．結果を早く返すことはもちろんだが，納得して正しい結果を返すことも重要である．検体の後ろには患者がいることを忘れてはならない．本稿ではピットフォールとして日常において経験する検査値について，事例を示しながら紹介する．

3．検査中のピットフォール　2）止血系検査その2 鈴木　典子 53巻5号 , 2025年5月 , pp.441-445

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止血系検査はさまざまな要因が結果に影響するため，診断や治療にも影響を及ぼす可能性がある．本稿ではクロスミキシングテスト，凝固因子活性測定，凝固因子インヒビター測定，ループスアンチコアグラント検査を行うにあたって共通する注意点を紹介する．

3．検査中のピットフォール　3）線溶系検査野々部　亮子 53巻5号 , 2025年5月 , pp.446-451

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線溶とは血液凝固反応によって生成された血栓を溶解する反応であり，この反応にかかわる因子を線溶系マーカーという．線溶系マーカーはさまざまな要因によって偽低値や偽高値になることが知られている．影響を与える要因について正しく理解することが，正確な診断や治療につながると考えられる．

4．検査後のピットフォール菊地　美幸 53巻5号 , 2025年5月 , pp.452-455

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検体取り扱いの方法によっては，検査結果に影響が出ることがある．本稿では血栓止血検査の「検査後」に起こりうるピットフォールとして，追加検査と凍結融解した検体測定の事例を提示し，その対策を解説する．

Editorial―今月のことば

臨床現場をほんの少しお見せします長谷川　浩子 53巻5号 , 2025年5月 , pp.417-417

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　「産後大量出血症例の患者が搬送されてくるため，院内コードを発令します」

クライテリア確立のための細胞所見―鑑別疾患と重要所見

3．胆管膵領域長友　忠相 53巻5号 , 2025年5月 , pp.457-460

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要点

・胆汁や膵液などの材料は消化酵素の影響で細胞変性が起こり，核が濃染傾向にみられることがあるため，クロマチン増量を誤認しないように注意が必要である．

・クロマチン顆粒をはっきりと認識できる細胞を用いて判定することが大切である．

・集塊所見においては，重積性，核の大小不同，核間距離や配列に着目する．

・個々の細胞所見では，核形不整やクロマチンの不均等分布に着目する．

基礎講座

エキスパートに学ぶ細胞診標本の見方森　康浩 , 田中　慎一 , 植田　政嗣 53巻5号 , 2025年5月 , pp.462-467

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◎細胞診断には組織学的知識が必要であり，正常細胞と比較することが重要である．

◎細胞異型の判断は検体採取法に適した基準を用いて行う．

尿潜血反応と尿沈渣検査の結果が乖離する際の考え方渡辺　智昭 53巻5号 , 2025年5月 , pp.468-471

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◎尿潜血反応と尿沈渣赤血球の乖離について理解する．

◎尿潜血反応が陽性で，尿沈渣赤血球は陰性となる原因について理解する．

◎ヘモグロビン尿を認める疾患・病態について理解する．

血液検査の内部精度管理堀内　雄太 53巻5号 , 2025年5月 , pp.472-478

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◎正しい検査結果を報告するために，精度保証の概念が重要である．

◎内部精度管理に用いられる目標値や許容範囲，測定頻度は，測定環境などを考慮して自施設で設定する．

◎管理図の変動から試料・試薬・機器の異常を予測でき，適切な対応が可能となる．

FOCUS―いま注目のトピックを掘り下げる

Lipoprotein（a）国際標準化のUpdate 三井田　孝 53巻5号 , 2025年5月 , pp.480-484

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Essence

●Lp（a）は，虚血性心血管疾患と大動脈弁石灰化/狭窄症の独立した危険因子である．

●apo（a）の多様性のため，Lp（a）のイムノアッセイはキット間差が大きい．

●国際臨床化学連合（IFCC）は，質量分析装置を用いたLp（a）の基準測定法を公認して標準化の体制を整えつつある．

●Lp（a）を強力に低下させる核酸医薬が使用される前に，Lp（a）イムノアッセイの国際標準化とSI単位系への移行が急務である．

シリーズ臨床検査とAlの活用　2．形態学的検査部門大江　宏康 53巻5号 , 2025年5月 , pp.485-489

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Essence

●高性能なGPUを搭載したコンピュータではなく，日常業務で利用しているパーソナルコンピュータにAIを実装することが重要である．

●既存の深層学習モデルを新しいタスクに適用する転移学習は，データ収集や学習にかかる時間とコストの大幅な削減を実現する．

●AIの活用により，形態学的検査の精度向上が期待される．また，臨床検査技師のトレーニングツールとしての活用も期待される．

ループスアンチコアグラント低プロトロンビン血症症候群（LAHPS）の出血・血栓のパラドックスを克服する家子　正裕 53巻5号 , 2025年5月 , pp.490-494

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Essence

●LAHPSとはループスアンチコアグラント（LA）陽性者で血漿プロトロンビン活性低下に伴う出血症状を呈する疾患群であり，小児のみならず高齢者でも発症する．

●LAHPSでは重症出血を含む出血症状が主体であるが，LAによる血栓症の合併を認めることもある．

●血漿プロトロンビン活性低下は血中に存在する抗プロトロンビン抗体（aFⅡ-Ab）によって引き起こされるが，中和抗体よりクリアランス抗体が主体である．

●① LA陽性，② 血漿プロトロンビン活性低下，③ aFⅡ-Ab陽性またはFⅡインヒビター陽性（ベセスダ法）が確認できれば，確実にLAHPSと診断できる．

MT Seminar―読んで、見て、深める臨床検査技師のための誌上講義

シリーズ不安解消！高齢の患者さんへの対応（後編：コミュニケーション）伊藤　雄一郎 53巻5号 , 2025年5月 , pp.496-499

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要点

☑高齢の患者とのコミュニケーションの最初のポイントは，高齢者を理解することである．

☑難聴や認知症のある方については，医療者が一方的に伝えるのではなく，話が伝わっているかを確認する．伝わらない場合は，ピンポイントでメッセージを送信することが重要である．

☑人生の先輩である高齢者の個別性を尊重し，尊敬の念をもって対応する．

薬剤性腎障害時の尿沈渣像の見方森田　賢史 53巻5号 , 2025年5月 , pp.500-506

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要点

☑薬剤性腎障害（DKI）は，発症機序により4つの病態に分類できる．

☑薬剤結晶を伴うDKIでは，尿沈渣検査による結晶成分検出が有用である．

☑薬剤結晶を伴わないDKIでも，尿沈渣像から病態推定につながる可能性がある．

薬剤感受性検査データ（MIC）の読み方と耐性菌検査グラム陽性菌編

5．Enterococcus spp. 北川　大輔 53巻5号 , 2025年5月 , pp.507-511

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薬剤感受性パターンと着目すべきポイント

　本株はバンコマイシン（VCM）の最小発育阻止濃度（MIC）が耐性のカテゴリーであるため，バンコマイシン耐性腸球菌（vancomycin-resistant enterococcus；VRE）と判定される（表1）．VREとは，VCMに対し耐性を獲得した腸球菌のことである．

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目次 53巻5号 , 2025年5月 , pp.418-419

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VOICE 読者のページ 53巻5号 , 2025年5月 , pp.479-479

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MTパズル 53巻5号 , 2025年5月 , pp.495-495

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編集後記・次号予告 53巻5号 , 2025年5月 , pp.512-512

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基本情報

Medical Technology
53巻5号
(2025年5月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0389-1887 医歯薬出版

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