病院 79巻4号 (2020年4月)

対談

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二木立氏は長年にわたり,医療と政策との関係を見つめてきた.

その時代を読む眼は,今の潮流をどう捉えるか.

著書『保健・医療・福祉複合体』で複合体化の進展を予見した同氏が,日本の病院と医療政策の近代史を振り返り,その到達点としての現在の医療提供体制の在りようから未来を探る.

特集 グループ化する病院

巻頭言 今村 英仁
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 本特集の編集を進める中で,「日本の病院グループ化はどのように進んでいくか」の問いは,とりもなおさず,「日本の病院はどこに向かって進むのか」と同じ問いになると強く感じる.

 この特集のバックボーンは,日本の医療提供体制研究の第一人者で,毎年,医療制度・政策に関する著書を発行している二木立氏の論考である.本誌でも病院グループ化の現状について連載を執筆いただいているが,本特集の対談では二木氏に直接話を伺い,病院グループ化の研究についての背景,および今後の動向についても,貴重な情報をいただいた.

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●病院のグループ化は多様化しているが,チェーン化と複合体化の2つの大きな流れに集約される.

●病院のグループ化の進展には医療政策が大きく影響している.

●複合体化の中心的な役割は,地域密着型の中小病院が担う.

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●病院グループは,社会の変化とともに進化を続ける.

●わが国の病院グループの数は182グループである.

●病院グループの展開は地域社会を重視し,地域ブロックでの展開が主流である.

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●病院の新たなグループ化の手法として,わが国の地域医療提供体制においては,通常のM&Aなどではない,航空会社のアライアンスのようなシステムも期待される.

●地域医療連携推進法人と医療アライアンス法人で異なる点は,二次医療圏や都道府県域を超えるグループ化となること,また,国公立を含まず民間法人のみの参画となることが想定されることなどである.

●医療アライアンス法人の運営に当たっては,まずは基本理念があり,目指す具体的なビジョンや目標が参加法人の経営トップ間で一致していることが重要である.

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●昨今,M&Aの認知度が高まっているが,一般の事業会社だけでなく,病院でも経営者の高齢化,施設の老朽化,後継者不足という課題の解決策として,M&Aの事例(M&Aによる事業承継)が増えてきている.

●背景として,病院において,親族による事業承継が行われないことがあり,外部医療機関によるM&A(グループ化)に加えて,内部人材による内部承継型のM&Aも行われるようになってきていることが考えられる.

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●尾三会の趣旨は,幅広い医療人の育成による地域医療介護の質の向上を目指し,全国に誇れる未来型の医療介護連携モデルを地域住民のために作ることである.

●尾三会では大きく9つの取り組みがなされ,藤田医科大学病院の献身的な対応のおかげで参加法人にはメリットがある.ただし,機能分化を行っていないため,連携体制に大きな変化がないとの声もある.

●将来,地域医療連携推進法人は生き残りをかけて闘う運命共同体となる可能性がある.

【インタビュー】

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■徳洲会グループの概要

—現在の徳洲会グループの規模を含めた概要を教えていただけますか.

鈴木 現在,グループ全体では,72病院を含む約350施設があり,職員数は約33,000人,収益は年間約4600億円で民間医療グループとして国内トップ,世界でも非営利組織では有数といわれるまでに成長しました.施設は病院以外に診療所,介護老人保健施設(以下,老健),訪問看護ステーション,介護事業所,特別養護老人ホーム(以下,特養),グループホームなど医療・介護・福祉施設を沖縄から北海道まで展開しています.

連載 アーキテクチャー×マネジメント・64

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 兵庫県神戸市の西北,池と田畑の広がる自然豊かな土地に,2017年度の医療福祉建築賞(一般社団法人日本医療福祉建築協会)を受賞した医療療養型病院がある(図1).初めてその図面を建築雑誌で見かけたとき,珍しい病棟プランに目を奪われた.療養型病棟は大部屋主体で採光が行き渡らない事例も多い中,特に雁行型の病床配置で各床二面の窓を設けた明るい多床室の設計は新鮮であった.

 実際に取材で訪れてみると,その驚きはたくさんの「仕掛け」の中のほんの一部であったことに気がついた.建物自体は単純な平たい箱,しかしその中身には医療者と設計者のさまざまな工夫がぎっしりと詰まっている.ソフトとハードが一体となって新しい環境づくりに挑戦する,今回はそんな意欲的な病院を紹介したい.

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■解決法を考える上で

 前回,医療の周辺のサービスについて問題提起をしたが,今回は解決の方向性について述べたい.

 ポイントの一つ目は,超高齢の患者が増えてくること,今からそれに対応しておくべきということである.

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■はじめに

 「日本海ヘルスケアネット」は,2018年4月に発足した山形県北庄内地域の9法人が参加する地域医療連携推進法人である1).地域の3病院(日本海総合病院,本間病院,山容病院)を中核医療機関として,地区医師会,歯科医師会,薬剤師会の三師会,3つの社会福祉法人(正覚会,光風会,かたばみ会)と1つの医療法人(上田診療所)の計10団体が参加している.急性期から慢性期までの病院,精神病院,そして介護事業者,三師会という地域包括ケアを構成する各種関係者が参加しているのが特徴である.

 図1は,日本海総合病院がある庄内医療圏の人口推移と,それに伴う傷病別入院患者数および介護保険サービス利用者の推移を推計した結果である.この図からも分かるように,今後,同医療圏はさらに少子高齢化が進む.急性期と慢性期を合わせた入院患者数も,総数としてはもう増加することはなく,肺炎,骨折,心不全,脳血管障害など,後期高齢者,特に要介護状態にある高齢者に好発する傷病が入院治療の原疾患として重要になってくる.もちろんこの背景には認知症患者の増加もある.少子化の進行は労働力としての医療・介護職の確保を困難にする.日本海へルアスケアネットの創設は,こうした社会環境の変化に対応するための解決策なのである.

連載 医療現場の「働き方改革」 医療の質を担保しつつ労働負荷を低減させる方法・4

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 働き方を改革するには,労働時間の適正把握が求められることは第2回,第3回で述べた通りである.今回は,2019年7月1日通達を基に,「宿日直」「研鑽」に焦点を絞り,医療機関特有の判断を必要とする労働時間管理のあり方を考えてみたい.医療の特殊性に起因する特別な事情が多々あることから,医療機関では簡単に働き方改革を推進できないという声もあるが,一部を除いては医療機関だけが特別扱いされるものではない.当該通達は,労働時間か否かの判断のよりどころとなる許可基準の細目を示したものであり,医療機関だからといって特殊な労働時間管理の方法があるわけではないことを念のために述べておく.

 他の産業と変わりなく,労働基準法の改正による労働時間に関する制度の見直し,労働時間等設定改善法による勤務間インターバル制度の普及促進,労働安全衛生法の改正による産業医・産業保健機能の強化等,パートタイム労働法・労働契約法・労働者派遣法等の改正による雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保などを主とした改革であることの認識は常に持っていただきたい.

連載 多文化社会NIPPONの医療 外国人患者受け入れの課題解決Q&A・31

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 ラグビーのワールドカップの前に増えた相談は,「外国人患者と日本人患者では対応にどんな違いがあるのか?」でした.オリンピック,パラリンピックを前に,特にトラブルの多い支払いに関して,体制整備の中でどのように考え取り組めばいいのかを解説します.

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次号予告

基本情報

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病院
79巻4号 (2020年4月)
電子版ISSN:1882-1383 印刷版ISSN:0385-2377 医学書院

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