連載 ケースレポート
地域医療構想と病院・34
地域医療連携推進法人 日本海ヘルスケアネット—医療介護資源に制約のある地方都市における医療介護サービスの確保戦略
松田 晋哉
1
1産業医科大学公衆衛生学教室
pp.308-313
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211174
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■はじめに
「日本海ヘルスケアネット」は,2018年4月に発足した山形県北庄内地域の9法人が参加する地域医療連携推進法人である1).地域の3病院(日本海総合病院,本間病院,山容病院)を中核医療機関として,地区医師会,歯科医師会,薬剤師会の三師会,3つの社会福祉法人(正覚会,光風会,かたばみ会)と1つの医療法人(上田診療所)の計10団体が参加している.急性期から慢性期までの病院,精神病院,そして介護事業者,三師会という地域包括ケアを構成する各種関係者が参加しているのが特徴である.
図1は,日本海総合病院がある庄内医療圏の人口推移と,それに伴う傷病別入院患者数および介護保険サービス利用者の推移を推計した結果である.この図からも分かるように,今後,同医療圏はさらに少子高齢化が進む.急性期と慢性期を合わせた入院患者数も,総数としてはもう増加することはなく,肺炎,骨折,心不全,脳血管障害など,後期高齢者,特に要介護状態にある高齢者に好発する傷病が入院治療の原疾患として重要になってくる.もちろんこの背景には認知症患者の増加もある.少子化の進行は労働力としての医療・介護職の確保を困難にする.日本海へルアスケアネットの創設は,こうした社会環境の変化に対応するための解決策なのである.
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