Neurological Surgery 脳神経外科 27巻11号 (1999年11月)

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 日本脳神経外科学会を含めた基本的診療領域とされる,15学会の認定医が日本医師会,日本医学会,学会認定医制協議会の三者の合意により公認された.本年4月1日より日本脳神経外科学会もこの基本的診療領域として参加できることになった.各学会は認定に際して独自の試験を行っている.このうち日本脳神経外科学会専門医認定試験は群を抜いて難しいことで知られている.すなわち他の学会の合格率が80%-90%なのに対して日本脳神経外科学会のそれは60%台なのだ.

 今回,出題委員といういわばオブザーバー的存在で専門医試験に参加し,また口頭試問においては委員長の指示により,他の二人の出題委員と供に各部屋をくまなく回り,試験の内容及び試験官の評価を行った.そこでその印象について私見を述べる.

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I.はじめに

 この小論は次の2点に重点をおく.①次々と新しく見い出される症候群を含めて,種々の形成異常を細かく分類してゆく従来のやりかたでなく,それぞれの症候群を形態学的に大きなスペクトラに統合して考えることによって,形態成因をより易しく理解しようと試みる.②文献にあまり記載がなく,したがってあまり知られていないが,決して稀有とは思われない形成異常をも紹介し,画像診断の可能性を指摘して症例の蓄積を促す.しかし限られた紙数ですべてを網罹することは不可能で,内容が多少とも片寄ることは避けられない.

 形成異常の理解には発生学と系統および局所解剖学の知識が助けとなるが,ここではそれに立ちいる余裕はない.発生の原則として,神経系の場合もおおむねまず器官発生そして組織発生が展開されるので,本論でもそれに従って話をすすめる.脳の外因性胎生期異常の理解には,働く外因の種類とは無関係に,その働く時期と程度によってのみ形態学が決定されるという古典的原則を忘れてはならない.発生途上の脳の一部に破壊が生じても,プログラムされた脳発育は進行するため,そこにadaptationがおこり,結果として複雑な形成異常となる.

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I.はじめに

 もやもや病に対する手術方法として,STA-MCA anastomosisに代表される直接血行再建術2)と,encephalo-duro-arterio-synangiosis(EDAS)5),encephalo-myo-synangiosls(EMS)3),encephalo-duro-arterio-myo-synangiosis(EDAMS)5)等に代表される間接血行再建術がある.これまでの報告では,両者ともに血行再建の有効性が認められている.

 しかし,直接血行再建術と間接血行再建術のどちらがより有効であるかという点に関しては,現在でも議論されているところである.直接血行再建術は,血流改善効果が間接血行再建術よりも早期に得られるという利点がある一方,小児では,STA,MCAなどの血管が細く吻合が手技的に困難であること,またそれに伴う麻酔時間の延長,donor血管末梢部での頭蓋内外での血管吻合を犠牲にする可能性のあること,吻合血管の狭小化や閉塞の報告があることから,間接血行再建術を選択する施設も多い.

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I.はじめに

 Magnetic resonance angiography(以下MRA)やthree dimensional computed tomographic an-giography(以下3D-CTA)による動脈瘤診断の進歩8,9,12)と,脳ドックの普及や外来でのMRAスクリーニングにより多くの未破裂動脈瘤が容易に見つかるようになり,脳血管撮影やdigital sub-traction angiography(以下DSA)でも見逃しそうな小さな動脈瘤までもが診断可能となった14,15).一方,これらの動脈瘤を手術するにあたり,小さな動脈瘤をどうするか,高齢者や難しい部位の未破裂動脈瘤の手術適応11,13)をいかにするべきかについて議論されている.

 われわれは,最近2.0mm程度の小さな破裂動脈瘤を多く経験し,従来より報告されている破裂動脈瘤の大きさには疑問があり,未破裂動脈瘤の手術適応11,13)を考える上でも破裂する大きさの詳細な検討が必要と考えている.

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I.はじめに

 中枢神経系原発悪性リンパ腫(primary centralnervous system malignant lymphoma,以下PCNSMLと略)は従来比較的稀な疾患と考えられてきたが近年その数は確実に増えつつある.全国脳腫瘍統計でも全脳腫瘍中に占める割合は1969-1983年の間では1.1%であったが20)1984-1990年間では2.4%と著増している21).治療法は,これまで放射線治療を中心に行われてきたが,短期間で再発することが多く長期生存が望めないことより放射線治療に加えて種々の化学療法が試みられてきた5,13).中枢神経系以外の非Hodgkinリンパ腫に対する第2,第3世代の化学療法は毒性も強く治療関連死も少なくない上に費用もかかることから米国では依然初代のCHOP療法が“bestavailable treatment”の地位を保っている8).一方,PCNSMLに対する化学療法の効果は有効とする報告5,13,15,19)もある一方で,否定的な報告1,11,22)もみられる.近年では血液脳関門を通過するMTXの大量投与2,5,9,16)が再発例にも有効とする報告がみられるが,大量化学療法に伴う合併症,特に治療関連死4)は最も避けなければならない問題であり化学療法専門のスタッフ(医師および看護婦)のいない脳神経外科病棟で安易に行うことは慎まなければならない.

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I.はじめに

 異所性下垂体腺腫は稀な腫瘍であるが,蝶形骨洞内に限局したものは非常に少ない.今回われわれは,手術により蝶形骨洞内に限局した異所性下垂体腺腫と確認した症例を経験したので,神経放射線学的所見を主に,文献的考察を加え報告する.

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I.はじめに

 後下小脳動脈瘤(PICA An.)は全脳動脈瘤中の0.5-3%を占め5,6,11),比較的稀な動脈瘤である.その大部分は椎骨動脈,後下小脳動脈分岐部動脈瘤(VA-PICA An.)であり,その末梢に生じたいわゆる末梢性後下小脳動脈瘤(distal PICA An.)となるとさらに稀で全頭蓋内動脈瘤の0.3-1%と報告されている5,6,9,11,12,16),今回,われわれが経験した症例はAICAが欠損しその灌流域をPICAが補っており,その末梢に発生した動脈瘤であった.いわゆるAICA-PICA An.であり,瘤の一部は頭蓋外に認められた.今回の自験例をもとにその臨床像,診断,治療法などにつき検討を加えて報告する.

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I.はじめに

 Dandy2),Gardner4),Jannetta5)らにより神経血管減圧術が三叉神経痛の治療法として確立して以来,本法が広く普及してきた1).今回われわれは神経血管減圧術時に,責任血管の上小脳動脈(SCA)がroot entry zone(REZ)を圧迫した後に三叉神経を貫通する所見を認めた.このような症例は稀であり,手術手技に工夫を要したため若干の文献的考察を含め報告する.

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I.はじめに

 急性硬膜外血腫は外傷による最も頻度の高い頭蓋内血腫の一つであることは周知の通りである.一方,外傷によらない頭部の急性硬膜外血腫は一般にspontaneous epidural hematomaと称され,原因として近傍の炎症10,12),硬膜血管異常12),出血傾向13),腫瘍の硬膜転移1)そして開心術後5-7,14,15)に二次的に出現するとされている.われわれは開心術後に発症した急性硬膜外血腫を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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I.はじめに

 脳神経外科学の分野には多くの両像診断法があるが,脳血管撮影はその中でも診断価値の高い検査法のひとつである.造影剤や検査機器の改良が進み,その安全性は高い水準にあるが,やはり合併症の存在は無視できない.今回われわれは,脳血管撮影後に錯乱状態を来たした症例を経験し,これが造影剤によると思われたので,若干の文献的考察を加え報告する.

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I.はじめに

 外傷性脳血管攣縮は,病態や発生機序,脳動脈瘤破裂後の脳血管攣縮との相違点など未だに不明な部分が多い病態であるが,今回われわれは軽微な外傷性くも膜下出血にもかかわらず,低Na血症を契機に脳血管攣縮が急速に進展し,悪化をみた1例を経験したので報告する.

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I.はじめに

 Chiari奇形はその発生機序,病態について諸説があり,未だ不明な点が多い.臨床像も特にI型においては無症候例から眩暈,頭痛,頸部痛,小脳症状,脳幹・脳神経症状,四肢運動知覚障害等と多岐にわたる.また眼症状としてはdown beat眼振,skew deviation,視力障害,複視等が挙げられるが個々の症例において一様でない.特に今回年長児において両側外転神経麻痺のみで発症し,大後頭孔減圧術16)にて治癒したChiari奇形I型の症例を経験したので報告する.

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I.はじめに

 頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻(dAVF)は,非常に稀な疾患とされており,文献的には脊髄症状4,7)やくも膜下出血1,4,7)にて発症した報告例が散見される.今回われわれは一過性脳虚血症状で発症した,頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻を経験したので,報告する.

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I.はじめに

 もやもや病に合併した脳動脈瘤(以下,動脈瘤)の報告は過去に多数存在するが3,5),その動脈瘤が側副動脈末梢部に見られる場合は少ない5).今回私たちは,脳室内出血で発症した,もやもや病に合併した外側後脈絡叢動脈末梢部動脈瘤の1例を経験したので,その治療経過を報告すると同時に治療方針について考察する.

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I.はじめに

 副鼻腔粘液嚢胞が骨を破壊し,視神経を直接圧迫するために視力,視野障害を生じることは少なくないが1,4,5,7,8,10,12,15-17),骨過形成のため視神経の圧迫を生じたという報告はない.

 今回,後節骨洞粘液嚢胞に伴う反応性骨肥厚のため,視神経管狭窄を生じて視力,視野障害を来たした稀な1例を経験したので文献的考察を加え報告する.

基本情報

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Neurological Surgery 脳神経外科
27巻11号 (1999年11月)
電子版ISSN:1882-1251 印刷版ISSN:0301-2603 医学書院

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