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連載 ネオ免疫学 生命進化に学ぶ免疫学のパラダイムシフト・vol.2
自己と非自己の識別
-――タスマニアデビルの受難
Recognizing self and non-self:The plight of Tasmanian devil
新田 剛
1
Takeshi NITTA
1
1東京理科大学生命医科学研究所分子病態学部門
キーワード:
アロ反応
,
MHC
,
伝染性腫瘍
,
タスマニアデビル
Keyword:
アロ反応
,
MHC
,
伝染性腫瘍
,
タスマニアデビル
pp.1123-1129
発行日 2026年9月19日
Published Date 2026/9/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu298121123
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SUMMARY
私たちヒトを含む脊椎動物は,獲得免疫系により自己と非自己の成分を識別する能力を有する.なかでも,T細胞(ここではαβT細胞)による抗原ペプチド/MHC複合体(pMHC)の認識に基づく同種異個体(アロ)反応は移植臓器拒絶の主因であり,獲得免疫系による「自己と非自己の識別」が最も顕著に現れる臨床的事例のひとつといえる.本稿では,MHCの多型性に基づくアロ反応の機序を概説し,その意義や起源を考察するとともに,アロ反応を活用した抗腫瘍療法について解説する.さらに,アロ反応による腫瘍排除が破綻した極端な例として,動物の個体間で伝染する腫瘍の事例を紹介する.ヒトでの腫瘍の伝播は極めてまれであるが,臓器移植や出産を介した事例が報告されている.これらのまれな事例には,免疫系がどのように腫瘍を認識・排除し,腫瘍がどのように免疫監視から逃れるのかを理解するうえで,本質的な示唆が含まれている.

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