特集 皮膚と細胞外小胞
がん・老化・妊娠とエクソソーム—生理・疾患における役割と診断応用—
泉尾 直孝
1
,
加藤 真未
1
,
星野 歩子
1
1東京大学先端科学技術研究センター細胞連関医科学分野
キーワード:
exosome
,
cancer
,
aging
,
pregnancy
Keyword:
exosome
,
cancer
,
aging
,
pregnancy
pp.297-304
発行日 2026年4月28日
Published Date 2026/4/28
DOI https://doi.org/10.69337/D202604-094-03
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エクソソームは,細胞が放出するナノサイズの膜小胞であり,タンパク質・核酸・脂質などの分子を内包して細胞間コミュニケーションに関与する.近年,エクソソームは単なる分泌物ではなく,放出細胞の状態を反映しつつ,受容細胞の機能を変化させる情報媒体として位置づけられている.特に血液を介して遠隔臓器へ到達する点は,局所の変化と全身状態を結びつける分子基盤として注目される.エクソソームの表面に存在する接着分子や受容体関連分子は,エクソソームの分布や受容細胞との相互作用に影響し,取り込み様式や受容後のシグナル応答を修飾する.一方,miRNAやタンパク質などの内包物は受容細胞に取り込まれ,遺伝子発現や代謝などに影響を与える.本稿では,エクソソームの役割が体系的に研究されてきたがん領域を起点に,老化および妊娠という生理機能とその変容に関する知見を概観し,エクソソームが局所現象と全身状態を結ぶ情報媒体として,異なる文脈の中でどのように理解されてきたのかを整理する.

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