特集 大人の自閉スペクトラム症(ASD)の精神療法―その理解と介入法をめぐって
発達障害特性と‘高尾メソッド’
高尾 総司
1
,
前園 健司
2
,
森 悠太
3
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野産業医グループ
2前園綜合法律事務所
3株式会社Office d’Azur 麻の葉経営コンサルタント
pp.662-667
発行日 2026年10月5日
Published Date 2026/10/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt52050662
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
筆者らは,職場におけるメンタルヘルス不調者対応を,「業務的健康管理」と「医療的健康管理」という概念で対照的に整理し,医療知識やスキルを持たない人事担当者や上司が現場で運用可能な標準化された対応(通称:高尾メソッド。以下,メソッド)として構築している。
メソッドでは,人事や上司が持ち合わせている,労務管理スキルで対応できるようにすべく,病名を問わない労務管理的対応(いわゆる事例性に対する対応と読み替えてもよい)が前提となる。好意的にいえば,誰に対してもユニバーサルな対応(小栗,2025)である。しかしこれを労働者本人やその主治医から見ると,疾病の特性に対して融通の利かない対応と映るかもしれない。確かに,さまざまな疾病背景を持つ労働者にメソッドを適用すると,メリットの多い疾病とむしろデメリットが目立つ疾病が,それぞれ疾患特異的に存在する可能性があることに,ある時気づいた。そこで,今回は発達障害特性とメソッドの適用を丁寧に検討してみる。
なお,最初に結論から述べるなら,発達障害特性のある労働者にとっては,従来の対応と比べ,メソッドを適用する場合のメリットのほうが多いだろうと考える。

Copyright© 2026 Kongo Shuppan All rights reserved.

