特集 学派論――公認心理師時代に学派を再考する
公認心理師時代に学派を再考する
山崎 孝明
1
1こども・思春期メンタルクリニック
pp.645-650
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp25060645
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I はじめに――『臨床心理学』の炎上に思う
本誌は2025年から第7期編集委員が編集を担当することとなり,その第1号を私は東畑開人氏と共に編集した。
「教科書には書いておらず,大学院でも教えてもらえない,現場で学ぶしかないありふれた臨床テクニック集」――
そう題されたその号は,発売前から「教科書に書いているのに読んでいないだけだ」「そんなことがあるなら大学院で教えるべきで,ここに名を連ねている大学教員は職務怠慢だ」「私たちの仕事は決して『ありふれた』ものではない。そんな名づけをすることは,クライアントにも失礼だ」といった批判が寄せられ,X(旧Twitter)で炎上した。編者である私たちは当然のこと,執筆陣ももちろんそんなつもりはなかったことだろうが,「炎上商法」呼ばわりされたりもした。
ここではそれらの批判にひとつひとつ応えることはしない。そうではなく,このタイトルの何がそんなに一部の同業者を苛立たせたのかを考えたいと思う。要因が複数あることは間違いない。しかし中核は,学派知の相対化に対するアレルギー反応だろう,というのが私の仮説だ。

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