投稿論文 論説
認知行動療法の持つ構造・枠組みとイメージ書き直しの関係についての検討
玉井 仁
1
1玉井心理研究室
キーワード:
感情
,
精神疾患
,
医療従事者-患者関係
,
認知行動療法
,
問題解決
,
欲求
,
イメージ(知覚)
,
信念
Keyword:
Cognitive Behavioral Therapy
,
Drive
,
Emotions
,
Mental Disorders
,
Problem Solving
,
Professional-Patient Relations
pp.93-100
発行日 2022年2月5日
Published Date 2022/2/5
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
認知行動療法では、さまざまな技法が要支援者のニーズによって利用されており、イメージ書き直し(Imagery Rescripting)も近年研究されている一つである。それは、過去のネガティブな体験に由来する侵入的なイメージをポジティブなものへと置き換えていく、イメージワークである。それゆえに、イメージ書き直しがどのように機能しているのかについての検討として、イメージ療法の中で積み上げられてきた知見を参照することは有益であると考えられる。一方、イメージ療法と認知行動療法では、研究の視点が異なっており、それらの知見を合わせていくには、いくつかのステップが必要だと考えた。本稿では、認知行動療法の中でイメージが扱われる心理療法の構造・枠組みについて検討し、それをイメージ療法における知見と比較検討することとした。結果として、認知行動療法では、広くイメージを扱っているが、イメージ書き直しで扱われるイメージが、意図をもって制御することのできない自律的イメージであることが示された。また、イメージ書き直しが安全に進むために、認知行動療法が持つ構造・枠組みが適切に機能していることも明らかになった。これらの視点はイメージ療法でも重視されている点である。よって、認知行動療法においてイメージ書き直しを検討する際に、イメージ療法で積み重ねられてきた知見を取り入れることの妥当性が示されたと結論付けられた。

Copyright© 2022 Kongo Shuppan All rights reserved.