論評
国の医療DX戦略の方向転換―オンプレミスからクラウドネイティブへ―
高橋 泰
1
1国際医療福祉大学大学院教授
pp.14-20
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.57527/JUNPO2959005
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 医療情報システムの転換:国の新しい基本方針 ⑴「医療DX令和ビジョン2030」推進チーム第6回会合の決定 2025年1月22日、厚生労働大臣、事務次官、医務技監など、日本の医療行政をリードする高官が出席し、「医療DX令和ビジョン2030」推進チームの第6回会合が開かれた。ここで示された新たな方向性は、これまで病院にサーバーを置いて運用してきたオンプレミス型の情報システムから、より柔軟かつセキュリティを強化できる「クラウドネイティブ」(国の文書では「モダンテクノロジー」と言及)方式へ移行するというものである。ここでいう「クラウドネイティブ」とは、アプリケーション(ソフトウェア)をインターネット経由で提供されるクラウド環境上で動かし、その特性を最大限活かす考え方を指す。クラウドは、例えるならば「自分で飲食店を開き、すべての設備を用意して料理を提供する」のではなく、「料理に必要な設備や器具、さらにはスタッフを借りることができる大規模なキッチンサービスセンターがあって、飲食店は必要に応じて提供サービスのなかから設備やスタッフを借り、使用した分だけセンターに支払う」サービス形態をイメージするとわかりやすい。

Copyright © 2025 Syakaihokennkennkyuujo All Rights Reserved.