特集 院内・施設内感染症対策の最前線
4.医療従事者における院内・施設内感染の予防および対策
長澤 耕男
1
1千葉大学大学院医学研究院小児病態学/国立感染症研究所感染症疫学センター
pp.21-25
発行日 2018年9月10日
Published Date 2018/9/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.02.02_0021-0025
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医療従事者はその業務の過程で多くの患者に接する.そのなかには,高齢者や新生児,あるいは抗癌剤や免疫抑制薬使用中の患者,先天性・後天性免疫不全者など易感染性宿主も多く認められる.これらの患者では,健康成人では通常感染症の原因にならない微生物により感染症を発症したり,同じ感染症でも重症化するリスクが高かったりと,診断・治療に難渋することがある.また,医療従事者はノロウイルスやインフルエンザといった感染力の高いウイルスに曝露する機会も多く,近年広がりをみせているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)などの薬剤耐性菌をもつ患者に接する機会も多い.このように,医療従事者は診療を通してさまざまな微生物に曝露される機会が多く,その一方で易感染性宿主に接する機会が多い職種である.医療従事者はいずれもが感染症の起因微生物を媒介する可能性をもつことを自覚し,自分自身を感染症から守るとともに,自らが原因となる院内感染を防ぐために感染対策に対する正しい知識を有し,その対策を徹底することが重要である.本稿では,これらのことを踏まえ,医療従事者における感染対策の基本対策について概説する.
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