特集 Special Article:
薬物療法を最大化するための取り組みや工夫 1.総論:アルコール依存症の薬物療法を最大化するために必要なこと
宮田 久嗣
1
1東京慈恵会医科大学精神医学講座/ 医療法人光生会 平川病院 副院長
キーワード:
断酒
,
減酒
,
早期介入
,
ハームリダクション
,
患者理解
Keyword:
断酒
,
減酒
,
早期介入
,
ハームリダクション
,
患者理解
pp.8-13
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.11.02_0008-0013
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従来のアルコール依存症の治療は,重症者を対象として,飲酒さえなければ健常な人をモデルにしてきた。すなわち,断酒治療が唯一の治療目標であり,プログラムやミーティング中心の治療構成であった。現在においても,断酒が最も確実で安定した治療目標であることに変わりはないが,治療する患者層や,飲酒に至る心理的な解釈に変化がみられる。患者層については,より軽症群あるいは依存症の前段階にある者に早期介入を行い,重症化を防ぐ重要性が認識されてきた。飲酒への心理的理解については,過去の被虐待歴や,発達障害などの精神疾患を有する一群の患者は,生きる上での必要悪としてアルコールを使用してきたことが知られるようになった。このような患者には,一義的に断酒やミーティング中心の治療を行ってもうまくいかないことが多い。患者の病態やニーズにあった多様な治療選択肢が求められている。そのような中で,薬物療法の効果も最大限に発揮することが求められる。本特集は,そのような視点で重要な情報を与えてくれるものである。「KEY WORDS」断酒,減酒,早期介入,ハームリダクション,患者理解
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