Clinical Report
断酒安定までに3年以上の介入を要した2症例 ~動機づけ面接法と変化のステージモデルからの考察~
橋本 望
1
1独立行政法人岡山県精神科医療センター依存症精神科医長
pp.63-69
発行日 2015年8月10日
Published Date 2015/8/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.03.02_0063-0069
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「はじめに」アルコール問題の予後は、担当した治療者の特性により強い影響を受けることがわかっている。予後が良好な場合の治療者には、高い共感性、患者の回復への信頼という2つの共通点がみられる。患者側の要因では、自己効力感(self-efficacy)が高い方が回復しやすいことがわかっている。このことから、患者に共感的で、再飲酒を繰り返す患者に対しても諦めずに支え続けるのが治療者の理想的な態度と考えられる。治療者に必要とされるこのような基本的姿勢は、ミラーとロルニックによってまとめられた動機づけ面接法(motivational interviewing;MI)において明らかにされている1)2)。当院においては、2010年より月1回、動機づけ面接法の勉強会を開き、ロールプレイを含めた練習を行っている。現在では、栄養士、家庭裁判所調査官、保健師、スクールカウンセラーなどの依存症以外の領域からも多くの参加がある。
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