連載 注目の新薬
リトゴビ®(フチバチニブ)
金井 雅史
1
1京都大学大学院医学研究科腫瘍薬物治療学講座
pp.645-648
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000798
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フチバチニブの作用機序
リトゴビ®(フチバチニブ)は線維芽細胞増殖因子受容体(fibroblast growth factor receptors:FGFR)阻害作用を有する分子標的薬剤である1).FGFRは細胞の増殖,分化,遊走および生存に関与する受容体型チロシンキナーゼである.FGFR遺伝子はFGFR1~FGFR4の4種類が存在し,その遺伝子変異のパターンとしては遺伝子増幅,融合または再構成,一塩基変異等がある2).FGFR2遺伝子に融合または再構成の変化(以後「FGFR2融合遺伝子」)が起こると,下流のシグナルが恒常的に活性化されるため,がんの進行が促進されると考えられている.フチバチニブは,FGFRのキナーゼドメイン内に存在するP-ループと共有結合し,FGFRを選択的かつ不可逆的に阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する1,3)(図1)4).423例の胆道癌患者の腫瘍検体を用いた検討で25例(約6%)の患者でFGFR2融合遺伝子陽性であったと報告されている5).
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