連載 注目の新薬
オンボー®(ミリキズマブ)
渋井 俊祐
1
,
小林 拓
1
1北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター
pp.379-382
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000625
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潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)は下痢,血便,便意切迫などを主症状にする慢性の炎症性腸疾患である.根本原因についてはいまだ不明であるが,長年の研究によって遺伝的素因に環境因子などが加わり免疫異常をきたすことがその病態の概観であることがわかってきた.近年はその免疫学的異常をコントロールすることで疾患活動性を制御することが試みられ,TNF-αやインターロイキン(IL)-12p40などの抗体やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬が次々と登場し,治療成績が向上してきた.IL-23もUC病態に関与するという報告がされたことから1),疾患活動性制御のための有力なターゲットと期待されている.わが国では2023年3月,このIL-23p19に対する特異的抗体,オンボー®(ミリキズマブ)がUCに対して世界で初めて使用可能になった.本稿ではUCの病態におけるIL-23の役割とミリキズマブの臨床試験の成績などから,その治療における位置づけを模索し,概説する2).
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