連載 注目の新薬
ステルイズ®(ベンジルペニシリンベンザチン水和物)
荒川 創一
1
1三田市民病院
pp.145-150
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000027
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梅毒の現状
国内で梅毒が増加している.1990年代には年間500人程度の発生にまで抑え込まれた希少疾病となり,2000~2012年までも引き続き年間500~800人台を推移する,まれな疾患であったが,2013年に1,200人を突破し,以降,年々急増し,2018年には7,002人に達した.2019年,2020年はやや減少したが,2021年に7,873人と再び増加がみられた.2022年に入り,47週までの報告はすでに11,586人であり,昨年同期の4,920人を大きく凌駕し,2022年はすでに近年での最多を更新してしまっている(図1).これら梅毒発生数は医師による届出制で把握されているので,届出基準に達していない活動性梅毒症例をも含めると,実際はもっと多くの患者が発生していると考えられる.梅毒は,後述するように男性では20~40代,女性では20~24歳に多く,性感染症としての特徴が表れている.
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