特集 食育を見つめなおす~“食” がつくる子どもの健康~
企画の言葉
西本 裕紀子
1
1大阪母子医療センター栄養管理室
pp.245-245
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.34433/ch.0000000824
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2005(平成17)年に食育基本法が公布されて20年が経過しました。「食育」とは食に関する知識と食を選択する力を習得し,健全な食生活を実践することができる人間を育てることと定義されています。また,2023(令和5)年に閣議決定されたこども大綱は,「こどもまんなか社会(=すべての子ども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会)の実現を目指している」とあります。しかし実際には,不適切な食生活による不健康やせや肥満など,栄養障害の改善に難渋する子どもの数は減少していません。その背景には,核家族化,共働き世帯の増加,貧困など,保護者が家庭の食事作りに時間をかけられない現状があり,SNSによる誤った情報や非健康的なマーケティングにさらされて,複雑多様化している子どもの食環境があり,家庭における子どもの食育には格差が生じています。小児期に形成された食習慣を成人後に変容させることは容易ではなく,不適切な食習慣は次世代の健康にも影響を及ぼします。

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