特集 日常診療でみる二次性心筋症・全身疾患関連の心障害
抗腫瘍薬による薬剤性心筋症
福満 雅史
1
,
志賀 太郎
1がん研究会有明病院 腫瘍循環器・循環器内科
キーワード:
Cyclophosphamide
,
Doxorubicin
,
Epirubicin
,
Idarubicin
,
Ifosfamide
,
Mitoxantrone
,
抗腫瘍剤
,
心筋疾患
,
Docetaxel
,
Trastuzumab
,
Bortezomib
,
Pertuzumab
,
Sorafenib
,
Lapatinib
,
Pazopanib
,
Sunitinib
,
Carfilzomib
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Trastuzumab
,
Bortezomib
,
Cardiomyopathies
,
Ifosfamide
,
Epirubicin
,
Idarubicin
,
Mitoxantrone
,
Lapatinib
,
Sunitinib
,
Docetaxel
,
Sorafenib
,
Cyclophosphamide
,
Doxorubicin
,
Pertuzumab
,
Pazopanib
,
Carfilzomib
pp.1557-1564
発行日 2022年12月1日
Published Date 2022/12/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00697.2023064545
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<Headline>1 抗腫瘍薬(抗がん剤)のなかには心毒性を有するものがある.がん治療に伴って出現する心機能障害(cardiac dysfunction)や心不全などの心血管系副作用は重大な問題である.2 適切ながん治療を長期にわたって継続するためにも,循環器医は抗がん剤治療に伴う心毒性を的確に診断・治療することが期待されている.3 抗がん剤による薬剤性心筋症を考えるうえで,がん治療関連心機能障害(CTRCD)とよばれる病態がある.がん治療に伴って心筋傷害(myocardial injury)が出現する病態であり,「がん治療前よりも左室駆出率が10%以上の低下をきたし,正常下限よりも下回る」ときに,CTRCDと定義される.4 心毒性を有する抗がん剤は多岐にわたる.薬剤性心筋症を引き起こす抗がん剤として,アントラサイクリン系薬剤をはじめとしてHER2阻害薬,VEGF阻害薬,5-FU系薬剤,新たな抗がん剤として期待が高まっている免疫チェックポイント阻害薬などがあげられる.5 有症候性心不全を発症してからよりも早期の心筋傷害の発見と治療介入が望ましい.早期に心筋傷害を検出する方法として,心エコーによるストレイン評価や心筋バイオマーカー(心筋トロポニンIなど)の定期的評価が有用とされている.
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