Special feature 感染対策成功のための皮膚の清潔・健康管理
■医療従事者の手指の清潔・健康管理
❶医療従事者の皮膚障害と医療への影響―感染リスクと予防の重要性
高山 かおる
1
1社会福祉法人恩賜財団済生会支部埼玉県済生会川口総合病院皮膚科 主任部長
pp.307-311
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000348
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皮膚を介した感染症は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延で,手の皮膚から粘膜への接触感染を生じることが有名になったが,その他にもウイルス感染症である疣贅や真菌感染症である足白癬のように,ほぼ皮膚の中にとどまって慢性的に寄生する感染症もある。これらの感染症は角層のわずかなほころびからウイルスや真菌の皮膚への侵入をゆるして発症する。また皮膚を介した細菌感染症である蜂窩織炎のように強い炎症を生じ,ときに敗血症や壊死性筋膜炎といった生命を脅かす疾患につながるときもある。皮膚の中にとどまるような感染症であっても,足白癬のように皮膚に炎症を生じ,水疱や鱗屑といった症状が起こることで角層バリア機能が低下し,2次的に細菌の侵入を許すこともある。つまり感染症リスクは皮膚のバリアが破綻することで生じるため,予防のためにはバリア保持のためのスキンケアが必要ということになる。本稿では主に手荒れと感染リスク,手荒れの治療や予防についてまとめる。
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