Special feature 物・人・事から組織まで総力で臨む手指衛生戦略
■Manpower 手指衛生の人材戦略
❷指導者養成トレーニング(TTT)の最前線
-―ジュネーヴ大学による手指衛生指導者育成セミナーを知る
坂本 健一
1
,
川上 和美
2
,
斎藤 浩輝
3
1白浜はまゆう病院 リハビリテーション室 理学療法士
2順天堂大学大学院 医療看護学研究科 感染制御看護学 准教授
3聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター 医長
pp.116-123
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000304
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手指衛生は「言うは易し,行うは難し」な感染管理の基本である。その改善には「多角的戦略」が必要で,実践科学を突き詰めていく必要がある。その点で,ジュネーヴ大学は手指衛生に関するブレイクスルーを見い出した大学である。1995年から1998年にかけて,同大学感染管理部門トップであるDidier Pittet教授らは,病棟・病室の水と石鹸による手洗い(hand washing)を,手の届く範囲にあるアルコール含有の手指消毒薬を用いた擦式手指消毒(hand rubbing)に文字通り置き換えるという大規模な介入を行った。今でこそアルコール手指消毒薬は一般的なものであるが,その当時の常識を大きく覆すものであった。その非常識を常識にし,さらに維持・改善させるために用いた様々な戦略の過程,成果をまとめた内容が,その後のWorld Health Organization(WHO)での手指衛生促進に関する一連の活動につながった。
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