特集 もたらす利益は想像以上!口腔ケアが導く感染対策
患者背景別口腔ケアの実践プログラム 実際の取り組みおよび得られる利益 がん患者
上野 尚雄
1
1国立がん研究センター中央病院 歯科
キーワード:
顎疾患
,
抗感染剤
,
抗腫瘍剤
,
口内炎
,
骨壊死
,
術後管理
,
腫瘍
,
病巣感染-歯性
,
造血幹細胞移植
,
周術期管理
,
骨密度維持剤
,
口腔ケア
,
骨髄抑制
Keyword:
Anti-Infective Agents
,
Antineoplastic Agents
,
Focal Infection, Dental
,
Jaw Diseases
,
Neoplasms
,
Osteonecrosis
,
Postoperative Care
,
Stomatitis
,
Hematopoietic Stem Cell Transplantation
,
Perioperative Care
,
Bone Density Conservation Agents
pp.125-131
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2017207836
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はじめに
1981年以降,がんは日本人の死因第1位の疾患であり,その傾向は超高齢化社会の影響を受けて今後も続くことが確実視されている1)。がんは検診制度の向上や,治療方法の進歩などにより,不治の病ではなく治る病気,長く共存できる病気になりつつあるが,その治療によって起こる有害事象や合併症の問題が深刻になってきている。
がんの治療中,特に化学療法中のがん患者では,血液毒性による血球減少などにより,著明に免疫機能が低下した状態となる時期がある。免疫機能が低下した状態での感染症は,通常より重症化するリスクが高く,がんの治療や予後にも大きな影響を及ぼすことから,そのマネジメントは非常に重要である。
口腔はがん治療中の全身感染症の感染源となりうるリスクが高い部位であり,がん治療開始前から口腔ケアを継続して行うことによって,口腔由来の感染症やその他の口腔合併症を制御し,持ってがん治療の安全性を担保しようとする取り組みが,がん診療に関わる医療従事者のコンセンサスとして広まってきている2)。
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