【連載】映画と、生きるということ(22)
気づかれない「喪失」からの回復 『お引越し』
渡辺 裕子
1
1NPO法人 日本家族関係・人間関係サポート協会 理事長
pp.68-69
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.32181/jna.0000002294
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- 文献概要
舞台は1980年代、京都で暮らす小学6年生、漆場〈レンコ〉一家。ある日、両親が別居し母との二人暮らしとなります。最初は「離婚」という実感がなかったレンコでしたが、次第にその現実が身に迫ってきます。レンコは、以前の家族の平和を呼び戻すために家族旅行を計画したのですが、湖畔のホテルのロビーで両親は口論となってしまいます。その場を逃げ出したレンコは、祭りでにぎわう街で不思議な老人に出会い、群集の中を一人でさまよううち、ある幻影を見ます。それは、仲のよかったころの家族の姿。レンコは、かつての幸福だった自分たちに手を振って応え、過去に一つの区切りをつけるのでした。
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