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特集 人工冬眠がもたらす次世代医療に向き合う
人工冬眠技術をめぐる哲学的論点の整理と,“同期” の崩壊について
The breakdown of “synchronicity”
――Mapping the philosophical issues of artificial hibernation technology
谷川 嘉浩
1
Yoshihiro TANIGAWA
1
1京都市立芸術大学美術学部デザイン科
キーワード:
人工冬眠技術
,
倫理
,
論争
,
同期
,
社会契約
Keyword:
人工冬眠技術
,
倫理
,
論争
,
同期
,
社会契約
pp.1091-1095
発行日 2026年9月19日
Published Date 2026/9/19
DOI https://doi.org/10.32118/ayu298121091
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本稿では,人工冬眠技術をめぐる既存の哲学的議論を肯定派と否定派に分けて整理したうえで,新たな論点として社会の “非同期化” を提起する.まず,肯定派がリスクや社会変容をある程度無視して実現後のメリットを強調するのに対して,否定派がリスクや倫理的ジレンマ,変容可能性を強調しており,議論のフレームが根本的にすれ違っていると論じる.そのうえで,いずれの立場でも考慮されていない “非同期化” という論点を導入する.日常の約束や契約,法律から,民主的社会の基盤となる社会契約に至るまで,これら社会の枠組みはすべて,人々が時間感覚を “同期” させているという前提のもとに成立している.人工冬眠が常態化して人々の時間が非同期化すれば,この前提が崩れるうえに,民主的社会の前提となる社会契約も揺らぐ.人工冬眠技術は社会の根幹に触れるものであり,技術の開発と並行して,社会を維持するための新たな論理を開発する必要がある.

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