連載 医療における生成AIとDX・Vol.2
診療業務における生成AI活用の可能性
-――皮膚科医の視点から
大塚 篤司
1
Atsushi OTSUKA
1
1近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授
pp.1101-1105
発行日 2025年12月13日
Published Date 2025/12/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295111101
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POINT
・生成AIの診療業務への実装と効果:2025年現在,GPT-4などの生成AIは米国医師国家試験で90%以上の正答率を達成し,診断精度でもTOP10以内で83%を記録している.皮膚科診療では,カルテ記載の自動化により入力時間を50~80%短縮し,患者説明資料の作成や鑑別診断支援において医師の負担を大幅に軽減できる効果が実証されている.
・医療現場での安全な活用方法と注意点:個人情報保護法第28条に基づく患者データの海外転送制限への対応として,医療特化型サービス(medimo,ユビー生成AI等)の利用が必須である.ハルシネーション対策として複数AIでのクロスチェックや有料版の使用,Temperature設定の最適化など,診療の安全性を確保する具体的な運用指針が重要となる.
・AI時代における医師の役割と未来像:AIが診断支援や事務作業を担う一方で,患者の人生に寄り添った治療計画の立案,触診による評価,患者との深いコミュニケーションは人間の医師にしかできない領域である.テクノロジーを使いこなしながらも,患者中心の医療を実践することが,AI時代を生き抜く皮膚科医の真価を決定する要因となる.

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