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第1土曜特集 分子基盤に基づくメカノバイオロジーの臨床応用最前線
超音波医療の最先端
声帯粘膜に対する超音波振動圧刺激の応答解析
Response analysis of the vocal fold mucosa to burst ultrasound stimulation
高田 弘弥
1,2
,
田村 悦代
3
,
小川 令
1
Hiroya TAKADA
1,2
,
Etsuyo TAMURA
3
,
Rei OGAWA
1
1日本医科大学形成外科
2同抗加齢予防医学講座
3東海大学医学部附属東京病院耳鼻咽喉科学
キーワード:
声帯ポリープ
,
声帯結節
,
喉頭がん
,
非接触超音波
,
メカノバイオロジー
Keyword:
声帯ポリープ
,
声帯結節
,
喉頭がん
,
非接触超音波
,
メカノバイオロジー
pp.1013-1018
発行日 2025年9月6日
Published Date 2025/9/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294101013
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喉頭は発声,呼吸,摂食によって常に機械刺激に曝され,喉頭上皮細胞が変形してその内部にメカニカルストレスが生じている.たとえば,声帯ポリープ,声帯結節,喉頭がんは,声の使いすぎなどの慢性刺激によって声帯に腫れ物ができる疾患の代表である.しかし,喉頭疾患の病態形成に関与するメカニカルストレスの感知機構についてはほとんど報告例がない.そこで,超音波の刺激周波数特性を用いて声帯振動を模した振動圧刺激を,声帯粘膜や粘膜上皮がん細胞に与えたときに生じる遺伝子発現の変化や,イオンチャネルの作用機序,細胞機能について調べた.適度な振動圧刺激はK+チャネルの開口とK+チャネルの遺伝子発現を制御し,細胞の異常増殖を抑制したと考察された.振動圧刺激が細胞増殖を調節する作用機序解明に加え,今後,振動圧刺激が細胞周期に及ぼす影響に関して詳細に解明されれば,慢性炎症やがんの新しい治療戦略にもなると期待される.

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