膵がん診断を補助する体外診断用腫瘍マーカーapolipoprotein A2-isoforms

Circulating apolipoprotein A2-isoforms, blood biomarker as in vitro diagnostics for detecting pancreatic cancer

効率的な膵がん検診確立の重要性

　日本における膵がん罹患率は人口10万人あたり35.2人でありながらその死亡率は32.3人と高く，日本人の第1位である大腸がんの罹患率が10万人中117.1人でその死亡率が43.5人であることに鑑みると，膵がんの難治がんである理由が容易に理解できる．事実，米国予防疾患タスクフォース（United States Prevention Services Taskforce：USPSTF）は，無症候性集団に対する画像検査を用いた膵がん検診の妥当性を，予測される陽性反応的中率の低さから推奨していない．一方で，家族性膵がん家系の膵がんリスク比は一般集団に比較して6.3倍と有意に高く，家族性膵がん家系に対する膵がん検診については，USPSTFのガイドラインから除外するとした^1）．すなわち，膵がんリスク集団を特定する血液検査などを用いた効率的な膵がん検診確立への期待が非常に高まってきているといえる．