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特集 ひきこもりの病態理解とその対応
総説
-――ひきこもりの多面的理解と多面的支援
Overview
――Multiple understandings and interventions toward hikikomori
加藤 隆弘
1
Takahiro A. KATO
1
1北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室
キーワード:
ひきこもり
,
精神疾患
,
生物–心理–社会–文化モデル
,
精神療法
Keyword:
ひきこもり
,
精神疾患
,
生物–心理–社会–文化モデル
,
精神療法
pp.132-137
発行日 2025年4月12日
Published Date 2025/4/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293020132
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“社会的ひきこもり(以下,ひきこもり)” は,6カ月以上にわたり,就労・学業など社会参加せずにおおむね自宅にとどまり続けている現象である.従来ひきこもりは,精神疾患とは一線を画す日本固有の文化社会的現象と捉えられていたが,国内外での臨床研究により,統合失調症,うつ病,不安症,パーソナリティ症,神経発達症,ゲーム障害といったさまざまな精神疾患との併存が明らかになっている.精神疾患併存の有無にかかわらず,心理社会的な要因によりひきこもっている症例もあり,精神医学的評価に加えて,心理社会的理解に基づく多面的な評価が重要である.他方,在宅ワークやオンライン授業が普及しつつあるポストコロナ時代では,何らかの治療・支援を要する “病的ひきこもり” と,健康な “非病的ひきこもり” との区別も重要であり,筆者らは両者を区別するためにHiDE-S(ひきこもり診断評価スクリーニングフォーム)とよばれる自記式評価表を開発している.ひきこもり支援では,こうしたツールを活用し,多様で個別性の高い当事者を多面的に理解して層別化し,それぞれの状況に応じた多面的な支援が求められる.

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