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第1土曜特集 神経変性疾患の分子病態解明と治療法開発
研究開発手法の最前線
神経変性疾患の創薬を支える臨床研究・治験
Progress of clinical studies to develop new drugs for neurodegenerative diseases
橋詰 淳
1,2
,
勝野 雅央
1,2
Atsushi HASHIZUME
1,2
,
Masahisa KATSUNO
1,2
1名古屋大学大学院医学系研究科臨床研究教育学
2同神経内科学
キーワード:
神経変性疾患
,
臨床試験
,
先制医療
,
マスタープロトコール
,
市販後臨床研究
Keyword:
神経変性疾患
,
臨床試験
,
先制医療
,
マスタープロトコール
,
市販後臨床研究
pp.800-804
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292090800
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神経変性疾患は,特定のニューロンが選択的に変性・脱落することを特徴とし,その結果として進行性の神経症状を呈する疾患の一群を指す.近年の分子生物学のめざましい進歩により,多くの神経変性疾患の分子病態が解明され,創薬ターゲットも徐々に明確になりつつある.神経変性疾患における医薬品臨床開発では,決定的な評価指標が存在しないこと,効果を見出すために十分な期間を臨床試験の評価期間として設定することが困難であること,十分な研究対象者を確保することが難しいことなど,医薬品臨床開発に不利な特徴を持ち合わせていることが多い.これらを克服するためにも,病態進行と症状発現のタイミングの相違を踏まえた先制医療の枠組みの構築や,N-of-1試験やマスタープロトコール試験といった新しい臨床試験デザインの活用が求められる.また,より質の高いリアルワールドデータベース(RWD)を構築し,それらを創薬の根拠データとして利活用するための努力も必要である.

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