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連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.23
麻疹ウイルス
-――麻疹排除状態の維持と今後の課題
Measles virus--Maintaining measles elimination and future challenges
多屋 馨子
1
Keiko TANAKA-TAYA
1
1神奈川県衛生研究所
キーワード:
麻疹ウイルス
,
遺伝子型
,
基本再生産数
,
乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン
,
麻疹排除
Keyword:
麻疹ウイルス
,
遺伝子型
,
基本再生産数
,
乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン
,
麻疹排除
pp.1065-1069
発行日 2024年9月21日
Published Date 2024/9/21
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290121065
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◎麻疹はパラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属する麻疹ウイルスによる感染症で,発熱,発疹,カタル症状を3主症状とする.合併症である肺炎と脳炎は麻疹の2大死因であり,先進国でも約0.1%の致命率を示す.麻疹ウイルスの持続感染によって,麻疹治癒後数年~10年程度経ってから発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の予後は不良である.
◎日本は,2015年3月にWHO西太平洋地域麻疹排除認証委員会から麻疹排除が認定されたが,この状態を維持するためには,2回のMRワクチンの接種率をそれぞれ95%以上に高め,その接種率を維持していくことが重要である.海外渡航前には1歳以上で2回の接種歴があるかどうかを記録で確認する.海外から麻疹ウイルスが持ち込まれても広がらないようにするためには,麻疹と臨床診断した場合にはただちに保健所に届出をするとともに,発疹出現後7日以内の3点セット(EDTA血,咽頭ぬぐい液,尿)を用いて全例の検査診断をPCR法で実施し,積極的疫学調査による感染拡大予防策を講じることが重要である.
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