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特集 妊娠高血圧症候群(HDP)の予防・治療・管理
HDPの治療UPDATE
Update of treatment for hypertensive disorder of pregnancy
松井 遥香
1
,
入山 高行
1
Haruka MATSUI
1
,
Takayuki IRIYAMA
1
1東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
キーワード:
降圧療法開始基準
,
降圧目標
,
重症域高血圧の急性発症
,
再発予防
Keyword:
降圧療法開始基準
,
降圧目標
,
重症域高血圧の急性発症
,
再発予防
pp.435-438
発行日 2023年11月11日
Published Date 2023/11/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28706435
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妊娠高血圧症候群(hypertensive disorder of pregnancy:HDP)に対する降圧療法開始基準や降圧目標,使用薬剤については,各国のガイドライン,諸団体によりその診療指針に差異があり,確固たるエビデンスに基づいた定まった方針はない.病型によらず重症域高血圧(160/110mmHg以上)を急性発症した場合やそれを繰り返す場合は,脳血管障害(特に脳出血)など母体の重篤な合併症の防止を目的とした速やかな降圧療法開始が推奨される.ただし,過度な降圧では子宮胎盤血流の悪化による胎盤機能不全をきたす可能性があるため,急性期の降圧療法中は緩徐な降圧を心がけ,胎児心拍数モニタリングを行う.HDPの管理においては,降圧療法のみでなく母体や児の状態を考慮した包括的な管理が必要であり,治療抵抗性の重症域高血圧,著しい母体臓器障害,胎児の状態の悪化を認めた場合は,病型分類や妊娠週数にかかわらず妊娠の終結が必要である.PEの既往がある女性では,次回妊娠時にPE再発予防目的に低用量アスピリン服用を検討する.また,HDPの既往がある女性は将来的に高血圧,脳心血管疾患,糖尿病,慢性腎臓病などを発症するリスクが高いため,長期にわたる定期的な健康診断の受診を推奨する.
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