遠隔医療の制度や政策からの視点

Telemedicine system and policy perspectives

　遠隔医療は医師法，医療法，診療報酬など制度面の未整備な時期から，規制改革などを経て発展の途上にある．オンライン診療，遠隔モニタリング，専門医による医師支援の3形態があり，それぞれの特徴に応じた発展を遂げてきた．それは次の3段階に分けると理解しやすい．第1段階は法的に認められることで規制改革などにより発展する．第2段階は基本的な評価尺度の確立，第3は社会的評価が進み，さまざまな課題を調整する段階である．オンライン診療は第1段階を抜け出たところであり，他の2形態は第2～第3段階にある．これまで効果的だった規制改革も，適法性が認められた後は強い推進手段ではない．評価尺度の開発や評価上の諸問題の調整が重要であり，行政などへの依存度を低め，医療者が自ら進めることが重要となる．今後は，プログラム医療機器（SaMD）やサイバーセキュリティなども遠隔医療と深く関わる課題として，あわせて検討することが不可欠となる．